鮨:秋の夢膳
ライブが終わったのちは、夢膳へと鮨を食いに行く。
…が、着いてみると様子がおかしい。明かりはついているが、門が閉じており閉店の雰囲気。あれ、予約の日を間違えて伝えていたかなと思っているうち、女将さんがこちらに気づき玄関を開けてくれた。
私が予定の時間を1時間過ぎても訪れないので、店のほうも予約の間違いかと思い閉店の準備をしていたとのこと。あれ、今は9時少しすぎたくらいのはずなのにと思って、携帯の時刻をチェックすると、なんと10時を過ぎていた。
ライブが終わったとき、マリンメッセの(見にくい)時計を見ると8時50分だったので、ちょうといいくらいの時間だと思っていたら、…あれはじつは9時45分だったのだ。ライブ独自の時間の流れで、思いっきり時間の感覚がおかしくなり、おおぼけをかましてしまった。鮨屋の予約の時間はきちんと守るべし、というのが家訓であったが、ひさしぶりに破ってしまった。
すでに仕事後の晩酌モードに入っていた店主に平謝りしながら、10時過ぎという遅いスタート。それでも造り、椀物、焼き物、鮨とフルコースでいただく。
夢膳の鰻は初夏から始まるが、まだあったんだ。天然鰻の本当の旬は今頃なのであるが、まああっておかしくはないのだが、夢膳の鰻は7月というイメージが強いなあ。
有明海で天然獲れた鰻は、皮が分厚く香りが高い。身も筋肉隆々としており、歯ごたえ十分で旨みも濃厚。この店の天然鰻を食べると、海で獲れた天然鰻というものが、鰻の中で独自の存在であることがよく分かる。養殖鰻の出来が良くなった今の時代でも、天然鰻にこだわる人たちがいるけど、この店のを食べるとその気持ちはよく理解できる。
夢膳名物ノドグロは、いつもは対馬のものなのだけど、今週は海の状態が悪く(たしかにそうだ。大型台風も近付いているし)、長崎のもの。どう違うかといえば、脂の乗りがまったく違うそうだ。「今回くらいのは光洋さんでも出てきますよ」、と光洋を褒めているのか、けなしているのかよく分からない店主のコメントつき。この業界、仕入からしてすでに分かっているので、ごまかせない世界なのである。
いつもの対馬のノドグロは、身を切ると、脂がとろ~りと流れて来るような脂濡れ濡れのものだけど、長崎のノドグロはといえばそこまでの脂の乗りはない。でも、それゆえのホコホコホクホクした身の食感は、これはこれでたいへんよろしい。
ハモ椀はハモのストレート勝負。ハモの旨みが十二分というか十五分くらいに出た濃厚な出汁を塩で整えた、一歩間違うとハモくさくなるような椀だが、そのようなことはもちろんなくハモの旨さが幾層にも重なった、なんとも夢膳でしか出てこないような、素晴らしい椀。
その後は握りをおまかせで。
今夜は少しばかり酒が入っているので、精度が落ちているかもしれませんとのことであったが、いつも通りの豊かにして華やかな夢膳の鮨であった。
夢膳の料理は、「非日常感」が満ちている。このようなものは家庭ではもちろん無理だが、一流の店でさえなかなか味わえるものではない。
なにかとんでもない、なにかすごい、そういう料理を食べたくなる時があったとき、夢膳は第一に候補に挙げるべき店である。
造り、椀物、焼き物、鮨とフルコースを楽しみ、終わったのは日付けが変わっての午前1時。まったくもうしわけありませんでした。
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