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September 2009の記事

September 28, 2009

登山@可愛岳(延岡北川町)

 ようやく涼しくなってきたので、7月に登ってあまりの暑さに途中で撤退してしまった可愛岳へと登ってみる。

【登山口】
Saigo_data_house

 登山口は「西郷資料館」のすぐ近く。写真の右手に見える階段が、北登山道へと続く。西郷軍が敗走路に使った登山道は、資料館の左手にあり、こちらは下山路に使うことにする。

【二本杉】
Two_pine

 北登山道からは眺望は利かない林の中の坂をただただ登って行く。林が切れたところで林道に突き当り、風景が開け、可愛岳の稜線が見える。可愛岳本峰はこちらの登山道からは最後のほうまで見えず、ここから見える峰は稜線上のコブである烏帽子岳だ。

【烏帽子岳からの眺め】
Eboshi_view

 烏帽子岳は標高588m。南面が崖になっていて、見晴らし良好。日向灘、延岡市が眼前に広がっています。
 登山口から標高差約500mを1時間弱で到達。夏の暑い時期に来たときは1時間半以上はかかったので、登山のコンディションがいかに気温に左右されるかがよくわかる。

【前屋敷】
Front_residence

 烏帽子岳からは、小さなアップダウンを繰り返しながら、150mほどの高さを山頂に向けて登って行く稜線路となる。
 途中に「前屋敷」なる、たぶん以前に建物があったであろう石垣跡がある。こんな山奥になんの目的があって建てられたものなのであろう。

【鉾岩からの眺め
Sword_rock

 可愛岳稜線は林の中で眺望はきかないけど、鉾岩と名付けられた岩峰の立っているところは例外的に眺めがよい。岩自体の格好もいいので、ここを山頂ということにしたほうがよいような気もするが、山頂はここより10分ほど行ったところの小広場であり、そこからの眺めはあんまりよくない。

【可愛岳山頂】
Mt_pretty

 山頂からは西方面に祝子川方面に下りる道があるようだが、そっちに行っては元の登山口に戻れなくなるので、元来た道を引き返し、南登山道への分岐から下りに入る。

【羊歯の道】
Fern_road

 南登山道は羊歯が多い道であり、一部は崖を羊歯が覆い面白い道となっていた。この崖に刻まれた道は幅のとても狭いところがあり、そこで間違って羊歯に足を踏み入れると、そこは崖なので、足は宙に浮き、一挙に落ちてしまう。そういうトラップ仕掛けのある、こわい道であった。たぶん、落ちた人はいると思う。

【可愛岳の眺め】
Distant_view

 北登山道からは可愛岳は山頂の近くに到るまで見えなかったけど、南登山道からは可愛岳の全容を見ることができる。
登りはこちらの道を使ったほうが、可愛岳がいかなる山か分かるので、適切に思える。

【南登山道入り口】
Exit

 道が栗林の中になったあと、西郷資料館の近くの登山口へと出た。
 西郷資料館を起点として、ぐるりと可愛岳を回るように登山道が作られており、親切なつくりといえる。
 標高727mという低山ではあるが、道はけっこう変化に富んでおり、ちょっとした岩場もあり、眺めもそれなりに楽しめ、手軽に登れるという利点もあり、いい山だと思う。

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September 26, 2009

映画:南極料理人

 地の果て南極大陸のさらに果ての高地で、地質研究のために、世間から隔絶された約1年半の日々を送る8人の男たちの物語。

 私の職場の関連施設が、南極基地への砕氷船航行に乗り込む人員を定期的に供給している。南極はロマンそそられる地であり、その航行はけっこう人気があり、参加するには競争率が高いそうだが、そのロマンの地南極も、さすがにそこで1年半過ごす気を起こす人はほとんどいないのでは。

 この過酷な任務に参加した者は、(1)南極の研究が好きでたまらない人 (2)職場に無理やり命じられた人 の2種類に分けられる。(1)の人たちはいいとして、(2)の人たちはだんだんとストレスがたまっていき、人格が崩壊しかけるわけであるが…それでも、人格の崩壊を食い止め、チームの機能がなんとか維持できたのは、堺雅人演じる料理人が日々つくる料理が美味しく、食事が生活の芯として厳と存在しえたからである。

 じっさい、この映画で供されている料理は、どれもどれもとても美味しくみえる。たとえ、ゲテモノ料理寸前の伊勢海老の巨大な海老フライでさえ。ましてや、南極の氷上で燃料をぶっかけて燃やしてつくったローストビーフなんて絶品の美味さに思える。
 これを食うためだけにも南極に行く価値はあるのでは? (ないない)

 料理とは、美味しいものとは、人はまともにし、人を幸福にする。
 あらためてそのことを知らせてくれる良作であった。

南極料理人 公式サイト

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September 25, 2009

武雄温泉あちこちあれこれ

 連休の後半は仕事の予定であったが、それがなくなり、いきなりぽっかりと日程が空いてしまった。ひさしぶりに温泉にでも行って、何もせずにのんびりした日を過ごそうかと思い、宿をネットで探してみると、さすが大型連休、一休コムもJTBも温泉地の宿はどこも満室である。楽天トラベルを調べると、武雄温泉のホテルが一軒予約可となっている。この繁忙期に部屋が空いているとはよほど人気のない宿なんだなあと思いつつ、空いてるだけでラッキーなので予約をいれた。

 佐賀県では隣の嬉野温泉をときどき訪れたことがあるけど、武雄には縁がなく、今までは通り過ぎるのみであった。歴史も古く、また名湯との評判ある温泉なので、どちらにせよ一度は行きたかったのでこれもよい機会であろう。

【温泉街・桜山】
Sakurayama

 駅からおりて温泉街の宿へと向かう。宿が集っている地に近づくと、妙な形をした小山が姿を現した。山頂に仏像のような岩を何本も並べた面白い形態。武雄温泉のランドマークともなる特徴ある姿である。これは登ってみなければと、宿でのんびりする予定を変更して、写真にも写っている本日の宿「春慶屋」に荷物を預けたのち登ってみた。途中まではやや荒れた石段が続いているが、やがて山道、そして岩場となる。

【山頂の岩群】
Sakurayama2

 山頂の岩群を望む。
 簡単な岩場を超えて、この岩の鞍部に到る。鞍部からは武雄の町の見晴らしがよく、また風通しもよくて、くつろぐのにいい場所である。紅葉の時期などは行楽者がけっこういるのでは。

【岩からの眺め】
Sakurayama4_2

 鞍部からは左手の岩が本格的な岩となっており、クラックが走っているので、靴を岩の割れ目にねじ込みながら登れば、てっぺんまでは行けそうだ。(でも、下りは支点とロープがいりそう)
 行けるとこまで登ってみようかなとも思ったが、本日は山歩きをする予定がまったくなかったので、ベルルッティ・ウルフを履いてきてしまった。「絨毯の上を歩くための靴」とされているベルルッティの靴のなかでは、例外的にウルフはアウトドアでも使ってもよい靴なのだが、さすがに岩に靴をねじこむような使い方は無理があるだろう。そんなことをすると、マダム・オルガが泣きそうだ。というか、怒る。

【こんな靴】
Shoes

 だいたいデニムにベルルッティという格好で山に登るのが反則か。
 鞍部での右手の岩は険しくはあるが、彫って作ったような人工的スタンスがあり、なんとか普通に登れそうなのでこちらを登る。しかしウルフは靴底が特殊な形態をしており、非常にグリップが悪く、靴底が岩から滑りがちで、登っていて少々恐怖を覚えた。ウルフで岩に登るのはあぶないのでやめておきましょうと、当り前の教訓をブログに書いておく。
 ちなみに、ベルルッティのサイトでのウルフの写真。


【右手の岩に登ってからの眺め】
Sakurayama3_2

 高度感ある町の眺めが鞍部よりもさらに素晴らしい。
 この岩の東側はすぱっと切れ落ちており、落ちるとまず命はないので、注意深く写真を撮ってから慎重におりる。

【桜山神社への小径】
Road

 山頂からは桜山神社へ向かう小さな道がある。朽ち果てた地蔵がところどこにある、苔むした道である。廃道的雰囲気のある、なかなかに風情のある道であった。

【武雄温泉】
Takeo_spring

 道を下りきると桜山神社の鳥居があり、そのすぐ近くに武雄温泉元湯がある。
 ここへは夜に入ったが、熱い湯と普通のを入れている浴槽があった。熱い方は原泉をそのままの温度で流しているそうだ。武雄温泉の泉質は柔らかなので、熱すぎるとその魅力が減じるように思われ、ぬるめた湯の方が好みであった。

【丸山・駅前】
Maruyama1

【丸山展望台】
Maruyama2

 武雄は小高い丘の多い地であって、駅の前にもこういう丘がある。
せっかくなので登ってみたら展望台があった。しかし、ここからの眺めはよくなく、登る価値はないなあ。

【御船山】
Mifuneyama

 駅から10分ほど歩くと武雄図書館にと着く。ここには歴史資料館があり、武雄の歴史をくわしく知ることが出来る。幕末、肥前藩は最新鋭の武装兵団を造り上げたのだが、その原動力は武雄藩にあったのだ。初めて知ったよ。
 図書館の奥には武雄神社があり、さらにその奥には船の形をした御船山が聳えている。桜山同様に特徴ある形をした山であり、武雄は面白い山に恵まれた地のようだ。

【武雄の大楠】
Compher_tree

 武雄神社の裏に、県指定天然記念物の大楠がある。樹齢3000年。中は朽ちて大きな洞となっており、その巨大な根の造形とあいまって、神秘的で威厳ある姿だ。これはぜひとも訪れて見る価値あり。

【宿の露天風呂】
Takeo_spring_hotel

 肝心の温泉は、まずは宿の風呂で。
 衛生のための塩素のにおいが少々気になったが、それでも、弱アルカリ性の湯は、ぬるぬるすべすべで、身体をじんわりと柔らかにつつみこみ、たいへん気持ちよい。風呂からの眺めも上々であり、ゆったりと過ごすことのできる風呂です。

【夕食】
Ysokuji

 夕食は、見た目豪華な、いわゆる「温泉旅館の料理」。
 卓の上には、造り盛り合わせ、寿司、佐賀牛(→コンロで焼く)、活きアワビ(→コンロで焼く)が並び、この後、しんじょの吸い物、天ぷら盛り合わせ、茶碗蒸しがいっぺんに運ばれて来る。見ているだけで、腹いっぱいになりそうな量。
 近頃は、料理にみょうに凝った旅館にばかり利用していたので、こういう料理もなんだか新鮮に思えるなあ。
食べてみると、素材はけっこうよいものを使っており、量とあわせて、コストパファーマンスは良い旅館といえよう。
 連休中でも空室のある旅館ということで、少々の不安を感じていたのだが、部屋・風呂・サービス・料理とも、標準以上のレベルはあり、きわめてまっとうな旅館であった。

 宿に戻ってからは、宿の大風呂に何度も入ったり、武雄温泉元湯に出かけたりと、最初の目的である「温泉三昧」の時間を過ごし、武雄の湯を満喫して翌日は帰る。

【武雄温泉駅】
Tekeo_station

 武雄温泉駅は、長崎新幹線の着工により駅の改築工事の真っ最中であった。
 地元の反対顧みず、佐賀県・長崎県の両知事により強引にスタートされた事業であるが、無駄な公共事業撲滅を図っている現与党への政権交代を迎えたのち、さて、このまま無事に工事は完遂できるのであろうか?

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September 19, 2009

鮨:秋の安春計

【秋の風景】
Autumn

 安春計の秋の定番、ススキが飾られている。以前はこの隣の大壺にわんさと盛られて飾られていたのだが、今回は2本のみが生けられ、静謐な雰囲気。侘び寂の境地?

【造り】
Tsukuri

 造りは、アラ、中トロ、戻りカツオ。
 いずれも旬のもので、味わい深いものばかり。

【カマスの一夜干し】
Kamasu

 カマスは脂がほどよく乗っており、ちょうどいい塩梅の干し加減で、旨さが凝集されている。この店の一夜干しは、鮎にしろカマスにしろ絶品で、酒がよく進む。

【ウニと豆腐】
Uni

 川島豆腐にウニを合えて。
 川島豆腐はとても美味い豆腐であり、ウニもまたたいへん美味い。
 ただし、合わせて食べると豆腐の甘さとウニの甘さがぶつかりあって、なんだか微妙な味だな。これはちょっと外したか。

【シンコ・コハダ】
Shad_2

 今の時期はコハダもサイズがいろいろとそろっており、というかバラバラのサイズのものが市場に入ってきて、それを一括して仕入れるそうだ。コハダの福袋みたいなもので、それによって客はさまざまなタイプのものが味わうことができる。
 シンコの3枚づけ、2枚づけ、それにコハダを三つ並べての共演。今の時期しか楽しめないコハダのショー。いずれも独自の味と食感があり、見事なもの。

【甲イカ・ヤリイカ】
Squids

 鮨のイカの主役である甲イカ、それにヤリイカの食べ比べ。
 甲イカのシャッキとした歯ごたえある食感もよく、またねっとりもちもちしたヤリイカの食感、これも見事。食べ比べることにより、各々の鮨の美味さがより引き立ちます。

【ショウガ】
Ginger

 ショウガの美味い店は例外なく名店である。
 目立たない脇役のものにも、しっかりと金をかけていい素材を仕入れて仕込んでいるわけだから。
 九州の鮨店のなかでも、私は「安春計」と「のむら」のショウガが大好きだ。
 店主は、そのショウガをてんこ盛りで出してきた。…これは、また酒が進んでしまう。


 ツマミから握りまで、いつものごとく、美味いものだらけが出てきておおいに楽しませてもらった。そして、その美味いものが季節とともに、旬のものに変わり、それが季節ごとのイベントとなる。
 今度は冬に訪れ、冬の自慢の品「アン肝」「スッポンスープの大根煮」を味わってみたい。

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September 13, 2009

サイクリング:六峰街道(北方町~速日峰ETOランド~あじさいロード)

 六峰街道は延岡市から五ヶ瀬町まで1000m級の6つの山をつないで走っている、総延長57kmにおよぶ林道である。春のアケボノツツジ、秋の紅葉が美しいことから、ドライビングコースとして人気のあるスカイラインだ。

 この六峰街道を全て走ると充実したサイクリングが楽しめそうだが、本日はその時間がないので、最初の山頂であるETOランドまでのサイクリングにとどめる予定として、出発。

【六峰街道起点】
Entrance

 延岡側の六峰街道起点はここから始まる。ETOランドまで9kmという標識があり、ETOランドに着くまで1kmごとにあと○kmという標識が出てくるので、親切な道ではある。

【六峰街道1】
Slope_road

 六峰街道は起点からETOランドまでの9kmはずっと登り坂である。距離が長いぶん、傾斜は緩やかで、感覚的には5~7%の坂がずっと続くという感じだ。立ち漕ぎが必要になるような激しい坂はほとんどなかった。林道としては珍しいパターン。

【ETOランド遠景】
Windmill

 ETOランドがどのようなものかは全然知らなかったのだが、坂を行くうち、いきなり正面に風車が出現。たぶんあそこがETOランドであろう。標高にしてあと200mは登らねばならんな。

【ETOランド】
Eto_park

 だらだらした坂を登っていくうちに、ようやく頂上近くに着き、ここがやっぱりETOランド、標高868m。途中で見かけたとおりに大きな風車があった。広い施設内に宿泊施設、草スキー場、ゴーカート、ジェットコースター等の設備があり、かなり大規模なレジャーランドなのであるが、行楽客は少なく、寂れておりました。九州は、バブルの時の勢いで作ってしまい、客が集まることもなく寂れ、そのまま幽霊屋敷と化してしまいつつあるテーマパークもどきが多いけど、これもその一つか。

【六峰街道】
Mild_slope_road2

 ETOランドまで登りきれば、あとは稜線沿いに小さなアップダウンを繰り返して行く快適な道が続いている。このまま終点まで行きたいものだが、それは秋の紅葉の時期の楽しみに取っておくことにしよう。

【大善自然公園1】
Wonder_park1

【大善自然公園2】
Wonder_park2

 ETOランドを少し過ぎたところに、忽然とこのような象の置物が現れる。もう少し進めると、「大善自然公園」との標識を掲げた門があり、その両脇に象の置物を設置しているのが分かる。
 街道入り口の地図にはこのような施設の名前は掲載されていなかったので、少し驚き。なんともB級スポットあるいは不思議物件のにおいがぷんぷんとする施設であり、中を調べたくなるが、門は施錠しており訪問不可能。
いったいどういう施設なのであろうと、帰ってネットで検索するも、なんの情報もなく、まったく詳細不明な施設であった。

【あじさいロード入口】
Exit

 六峰街道の次の目標物「中小屋天文台」の手前に、宇納間へと下りて行く「あじさいロード」が分岐している。本日はここを使って帰ることにする。「あじさいロード」は名前の通り道の脇にあじさいが植えられており、梅雨時などはあじさいが咲きみだれ、観光名所となっているわけだが、今の季節は彼岸花がぽつんぽつんと咲いているのみであった。

【あじさいロードの彼岸花】
Hydrange_road

 あじさいロードはETOランドへの道とは異なり、かなり急傾斜の道で劇坂が続いている。ここを使って、六峰街道に登ろうとするなら、かなりの脚力が必要になると思われる。

【あじさいロード出口】
Exit2

 宇納間側からすると、こちらがあじさいロードへの入り口となる。ここからは坂もゆるやかになり、また道も少しは広くなり走りやすくなる。あとはただ延岡へ向かって淡々とペダルを漕いでいくのみ。


 本日の走行距離:78.1km

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September 12, 2009

土産@光洋

 コンベンションセンターのビュッフェはあまり美味しいものでもなかったが、それでもいろいろと試食しながらビールとワインを飲み、〆の時間まで居て、そしてお開き。
 せっかく宮崎市に出ているので、光洋に寄ってみる。

 鮨から始めようかと思ったが、妙な時間に訪れたため、シャリが切れており今から炊くとのことで、ツマミから。
 腹はそこそこ満ちており、あっさりめのツマミがいいので、コハダを「鶴八風のツマミで」と頼む。

【コハダ】
Kohada

 まかせてくださいと言って店主の出したコハダは、鶴八の木の葉造りとは微妙に形態が異なっているようだが、これはこれで美味しかった。

 シャリが炊けたのちは、鮨を適当に頼んで食い、そして飲む。
 懇親会とかの料理を食べるより、こういう店の料理のほうが、はるかに食の満足度がありますな。といって、懇親会に出て、歓談中に何も食わないで酒だけ飲んでいるのも変な話だし。社会人というのも難しいものだ。

 さて食事も終え、気持ちよく酔っ払ったところで、職場で人気の光洋の散らし寿司を土産に持って帰ることにする。

 3日前は店主が、スペシャル版として、自家製のサツモイモを使った炊き込みご飯を用意してくれて、これも好評であったが、(私も食ったけど、サツマイモの強い甘みに、塩がよく利いたご飯との組み合わせがgoodであった)、光洋の土産はやはり散らし寿司であろう。
 前に職場に持って行ったときは、一折だけでは量が少なく、奪い合いになってしまったので、今回は二折。それに店主がサービスで、スペシャル版(?)の炊き込みご飯も一折追加。店長は炊き込みご飯に近頃凝っているのであろうか。

【自家製サツマイモ炊き込みご飯】
2_2

【散らし寿司+炊き込みご飯】
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 帰りのJRでは、ちょうど同じ時刻の列車で帰る職場の者と合流。こちらも宮崎市でさんざん飲んでいたわけで、列車内で酔っ払いどうしの酔っ払い談義をかわすうち、いつの間にか延岡へと着。

 私は職場へと土産を届け、みなさんの歓声を受け、いい気持ちで帰宅しそのままバタンと寝た。
 …明日は休日のはずだが、朝から仕事だ。

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September 11, 2009

ワールドコンベンションセンターサミットに行ってみた

 研修会があり、宮崎市のシーガイアにあるワールドコンベンションセンターサミットへと行った。
 このやたらに長い名前を持つ会議場は、さすがにサミットを開催した過去があるだけあった、やたらに豪華で広大である。なにせ5000人の収容が可能という日本最大級のホールを持っているんだから。
 交通の便がさしてよくもない人口36万の宮崎市に設置するには、明らかにオーバースペックの建物であるが、要するに、バブルの熱に浮かれてとんでもない金をかけて造ってしまった「バブルの遺産」というか「バブルの遺跡」である。
 オーシャンドームを含めたシーガイアに含まれるこれらの施設の浪費の後始末に、宮崎県、宮崎市、宮崎銀行などは現在四苦八苦しているところであるが、それはさておき、実物を見てみると、かつての社会主義国の宮殿みたいな壮麗な建物であり、これは凄いと思います。

【フロント】
1

 肝心の研修会は、東京での我が業界に現状についての講義。
 東京って働く人が多くていいなあ、と羨ましく思う。あちらがマニファクチャーのレベルで仕事を行っているとしたら、我々は家内制手工業のレベル。質量ともかなうわけない。ただし、地方のほとんどでは、我々と同様のレベルで細々と仕事を維持しているわけで、これが日本の現況か。まあ、地方じゃ我々の業界は10年すれば消滅すると言われているわけで、これからは東京などの大都市圏に集約していくのだろうなあ。

【ビュッフェ】
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 講義のあとは、懇親会に参加。名前は知っているけど、顔は見たことのなかった同業者としばし歓談。
懇親会は立食パーティ方式。バブリーな建物のビュッフェだったから、食事もバブリーかと思いきや普通であった。あえてバブリーなものといえば、テーブルに飾られた熱帯魚の置物であろう。
 宮崎市在住の人に言わせれば、この手のものは「宮崎観光ホテル」が一番レベルが高いとのこと。ならば今度宮崎観光ホテルで研修会があったなら、それには参加してみようかな。
 いったいお前は研修会に何を求めているのかと言われると、困るのだが。

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September 09, 2009

練習、練習、練習!  Practice, practice, practice!

 仕事、スポーツ、趣味 どんなことにせよ、自身のレベルをあげていくには、練習とは、大事なものである。
 ある人が素晴らしいことをやったとして、そこで出した結果は、それが良いものであればあるほど、その背後に膨大な練習量がひかえている。

 ここで私の好きなジョークを紹介。

 Maestro violinist Jascha Heifetz was racing up New York’s Seventh Avenue to a rehearsal, when a stranger stopped him. “Pardon me”, he said, “can you tell me how to get to Carnegie Hall?”. “Yes”, answered the maestro breathlessly, “Practice, practice, practice!”

 適当に訳すと、
 バイオリンの巨匠ハイフェッツがリハーサルのためカーネギーホールへ向かっていた。そこへ道に迷った人がハイフェッツを呼びとめ、「すみません。カーネギーホールへはどうやったら行けるのでしょう」と尋ねた。ハイフェッツはただちに答えた。「練習、練習、練習あるのみ」

 笑いのポイントが分かりにくい人のためにあえて解説を加えると、まずハイフェッツという人はヴァイオリニストの歴史の中で最高の名人とされている。彼の録音を聴くと、一音一音が楽譜の通りの音階、強さ、ニュアンスで弾かれ、サイボーグが演じるかのごとく、まさに完璧な演奏。20世紀のヴァイオリニストはハイフェッツの影響を受けることなくしてヴァイオリンを弾くことは不可能であった。それほどの天才である。
 さて、カーネギーホールとは米国で最も権威のある演奏ホールであり、その舞台に上がることのできるものは当代の一流の芸術家に限られる。
 その天才がカーネギーホールへの道を聞かれ、まさか有名人である自分が単に道順を聞かれているとは思わず、カーネギーホールに登場できる方法を聞かれたと思い、そこでただちに、「練習あるのみ」と答えたわけだ。

 ハイフェッツほどの天才にして名人にしても、その地位に立つために最も重要なものは、才能とか、センスとかではなく、練習であったというわけ。

 このエピソード、検索するとピアニストのルービンシュタインにも同じようなものがあるため、どうやら実話でなく、カーネギーホール用のアメリカンジョークのようだ。ただし、ルービンシュタインはこのジョークの登場人物になるには、器が小さく思える。ハイフェッツと同格のピアニストなら、ホフマン、ラフマニノフといった伝説的名人のほうが適役と思うが…あ、彼らはカーネギーホールには出ていなかったのかな?

 それはともかく、ハイフェッツという人は、神か悪魔のような演奏をするため、人間を超えた超常の存在のように思われていたわけだが、彼のその神か悪魔のような技術を支えていたのは、やはり練習だったのであって、ハイフェッツには練習に関する彼の有名な言葉が残っている。こちらは実際にハイフェッツが語ったもののようである。

 If I don't practice one day, I know it; two days, the critics know it; three days, the public knows it.
 1日練習しないと自分が分かる、 2日練習しないと批評家に分かり、 3日練習しないと聴衆に分かる 。

 ハイフェッツほどの名人でさえ、1日練習をさぼれば、そのレベルは確実に低下する。
 我々凡人が努力を怠れば、そのレベルの低下のいきつく先はいかなるひどさであるか。なんか、おそろしくなってしまう。

 …自転車、やっぱりちゃんと練習しないといけないか。
 


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September 08, 2009

9月の光洋

 光洋にて秋の味覚を。

【土瓶蒸し】
Dobinmushi

 今年初の土瓶蒸し。まだマツタケの香りは弱いなあ。でもやはり土瓶蒸しを食すと、秋の訪れを感じます。風の涼しさ、雲の高さ、そういうものでもよいけど、私はやはり食いもものでくっきりと季節の推移を確かめたいな。

 鮨では、サバ、マグロが季節の出始めのものが出てくる。サバもマグロも若いもので、旬の時期の濃厚な味にはまだまだだが、これから美味になってくる期待感を十分に感じさせる。赤貝は閑上のもの。閑上独自の肉厚なものにはまだなっていないけど、清新な香りと、ぷりぷりした歯ごたえがたいへんよろしい。

【赤貝】
Akagai


 本日は、宮崎の洋食会をひっぱる若手の料理人たちの研究会があり、その後光洋に流れてきたグループが隣で飲んでいた。一番の年配の方が、宮崎市で一番大きな魚の卸問屋の社長で、そして自転車乗りのベテラン。宮崎の魚の興味深い話に加え、自転車の話を拝聴。
 氏は、あの過酷で有名な阿蘇サイクルマラソンの経験者。一日で阿蘇の4つの峠を超え、高さにして富士山並みの3800mを登らねばならないという、伝説のトンデモコース。
 どうやったら、そんなことが出来るようになるんですか、とたずねると、「ともかく練習あるのみ。朝練で鍛え上げ、まずは時速35kmで1時間走られるようになることから始めましょう」とのアドバイス。…そりゃ、ハードだ。
 まあ、阿蘇サイクルマラソンに私が出ようと思っているわけでもないので、そこまで鍛えなくともよいのだろうけど、楽なロングライドを楽しむには、日頃の練習はやはり必要でしょうな。

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September 07, 2009

9月の鮎@由貴亭

 延岡は鮎のよく獲れる所であり、当然いろいろな店で鮎は出るわけであって、6月~8月と鮎を食べ歩いていた。それぞれの店で鮎の仕入れに違いがあり、それぞれに特長があるのだろうけど、結局一番気に入った店は、「由貴亭」である。
 店主は、鮎は獲れたてに限ると、早朝から鮎を釣りに行き、その日に獲れた鮎を店で出すというこだわりの持ち主である。まったく、鮎は獲れたてに限ると私も思うのであって、そのような鮎が美味しくないわけはない。

 季節は9月となり、そろそろ鮎の時期も終盤を迎えつつある。鮎のサイズはどうなっているのであろうかなどと思いながら来店。

【鮎の塩焼き】
Ayu

 本日店主は五ヶ瀬川と三川内川(北浦)とで鮎を釣ってきたのこと。それではと各川の鮎を一匹ずつ塩焼きで頼む。
 鮎は食べている水苔で香りや身の味が異なってくるので、川によって当然微妙に違いがあり、達人は鮎を食べるなり、産地の川を当てることができるとかの話があるが、さて私にそれが分かるだろうか? 

 結論からいえば、分からん。
 香りの強さとか、脂の乗りの良さとか、そういうのは分かるので、総合的な美味さの違いは自分なりに判断はつくが、香りについては、「鮎の独自の香り」とか感じられず、川によってどういう違いがつくのか見当もつかない。

 店主によれば、獲れたところによって微妙に味は変わってくるのは事実であると。しかし、川ごとに違うのみならず、川の瀬によっても(早い瀬のものが一番おいしいそうだ)違ってくるので、鮎を食って産地の川を同定するのは、相当に困難な技とのことだ。
 話に伝わる達人って、ほんとにいるんでしょうかね?

 それはそうと、やはり延岡の9月の鮎は美味しいのであった。

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September 05, 2009

サイクリング: 宮崎市~延岡(国道10号線)

 宮崎から延岡までは自転車で行くとなると、西都まわりで日向市の山の方向に出て五ヶ瀬川につきあたってそこからおりてくるのが、道が変化に富んでいて楽しそうだし、車も少ないだろうから、これが適切なルートと思われる。しかし、今はまだ9月上旬。8月を過ぎたとはいえ、まだ残暑のなか。暑いったらありゃしないなかを回り道をして長時間自転車漕ぐ気はしないので、最短距離である国道10号線を使って北上することにする。国道10号線は東九州の幹線道路であり、車の交通量が多いので、自転車で走るには楽しくもなんともない道であるが、やむをえない。

【宮崎市内】
1

 本日は無駄に天気がよく、雲とてない見事な快晴であり日差しが強い。アスファルトは太陽光をしっかりと受け止め熱い道と化し、空間には暑さが満ち満ちている。そんななかを自転車を漕いでいると、汗がいくらでも出てくる。脱水予防のために水分を適宜補給しながらの自転車行。ペットボトル内の飲料水はすぐ無くなるが、国道10号線は幹線道路のため、道沿いにコンビニやら自販機がいくらでもあるので、ただちに冷たいペットボトル飲料が補給できるのはありがたかった。

【中間点過ぎ】
4

 国道10号線は古くからある道路なので、かえって道の整備がよくない。路側帯が狭いところが多く、そこを自転車で走行せねばならず、横をトラックが駆け抜けるときなどは、すぐ傍なので、巻きこまれそうになってけっこう怖い。サイクリングにはまったく向いていない道路だ。
 しかしところどころバイパスを作って道が新しくなっているところがあり、そこは道幅も広く、道路の舗装もしっかりとしているので、快的に自転車を飛ばせる。
 そして時速30km以上を出すと、ロードバイクの良さがよく分かってくる。姿勢が前傾なので、風の中をすり抜けていくという感じになり、風圧が邪魔をしない。これは楽だな。

 暑いなか、ペットボトル飲料をどんどん消費しながら自転車を走らせるうち、中間点を過ぎたみたいで、延岡まであと40kmという道路標識が現れてきた。
 まだまだあるぜ。

【道の駅 日向】
2

 国道10号線は車ではよく走っており、道路の状況は知っている。
 ドライブでの休憩ポイントは、「道の駅日向」くらいしかないと思っていたけど、自転車でもここくらいしかなかった。Webで調べると、「ひょっとこ踊り」が名物のパーキングのようだが、いつもやっているというわけではない。

【日向市 塩見大橋】
3

 日向市に到着することには夕暮れとなる。やっと涼しくなってきて、自転車を漕ぐに問題ない気温となる。
 ここからは快調に自転車を飛ばし、延岡に到着。

 87kmの距離を3時間50分で走破。平均時速は22.5km。
 暑い気候と車の多い路線という悪条件のなか、初めてのロードバイク走にしては、まあまあのものであろう。

 さあ、なにはともあれ、ビールだ。ビールだ。


(追記)
 「りんりん館店主」、「輝ける黄昏を目指して氏」も私が無事に延岡にたどり着けるか心配されていたとのこと。たしかに、使い方の難しいロードバイクに初めて乗って、いきなり幹線道路80km以上の距離を走るのは、少々無理のある行為であった。じっさいに乗っている最中、ポジションの取り方、シフトチェンジの仕方、いろいろ試行錯誤していたわけで、うまくいかないときは下手すりゃ転倒して、とんでもない目にあっていた可能性もあった。
 もう若くもないのだから、これからは慎重なサイクリングを心がけることにしよう。…たぶん、心がけるだけで終わるのだろうけど。

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Colnago EPSがやってきた

 私の今愛用している自転車は、Colnago Cambiago というクロスバイクである。このバイクは実にスピードの出るバイクであり、また全体のバランスもいいので、よく曲がり、よく止まる。乗っていてとても気持ちのよいバイクだ。他のバイクのことはあんまり知らないのだけど、世評とあわせて考えると、Cambiagoはクロスバイクの最高峰といってよいほどのhigh performanceを誇るバイクといえる。

 しかしクロスバイクというのは、これほどのhigh performanceのバイクに乗って始めて分かったのだが、それなりに欠点があった。ハンドルがフラットなので、姿勢が似たようなものしかとれず、100kmを越える距離のロングライドをすると上半身が妙にこり、どうにも途中から不愉快になってしまう。また前傾姿勢がとりにくいので、時速30kmを越えて走ると、風の抵抗をもろに受け、巡航しているうちに疲れてしまう。クロスバイクは50kmくらいの距離を、25km/hrくらいの速度で走るぶんには理想的なバイクなのだろうが、ある程度の速度で巡航しながらのロングライドをするには、やはりロードバイクが必要になるのだ。

 サイクリストは一度は必ず、ロードバイクに乗りたくなるというが、その轍に私もはまってしまったようだ。

 さてロードバイクに乗るとして、クロスバイクCambiagoのハンドルをドロップハンドルに変えればロードバイクになるかといえば、そういうものでもないらしい。クロスバイクはロードバイクとフレームからして別物であるからだ。

 そういうわけで、ニューバイクを購入しなければならない。
 数あまたあるロードバイクのうち、初めてのロードバイクはいったい何を選ぶべきか?
 結論は決まっている。

 Cambiagoがコルナゴのクロスバイクのフラッグシップバイクであったからには、ロードバイクもそれにあわせて、コルナゴのフラッグシップバイクにしなければならない。当然、そのバイクはColnago EPSとなる。
 コルナゴ・EPS。このバイクはすごいですよ。詳細は省くが、というか詳細を知らないのだが、EPSというのは「extreme power super」の略であり、それだけですごさが伝わっている。だいたいが、世界でトップレベルにあるコルナゴ社の、最上級モデルのバイクがすごくないわけはない。まあ、とりあえず実際のすごさは乗ってみれば分かるはずだから、そのすごさについては、おいおいと伝えていきたい。(要するになにがすごいのか、まだ知らないのであります。でもCambiagoがあんなにすごいクロスバイクであった以上、EPSがすごいロードバイクでないわけがない)

 EPSを購入することに決め、宮崎市のりんりん館へ注文をだす。日本にそんなに数があるバイクでもなく、輸入しないといけないだろうから、3ヶ月待ちくらいに思っていたが、なんと1ヶ月もしないうちにフレームが到着し、本日バイクが完成との連絡あり。

 9月上旬に完成っすかあ。参ったな。予定では涼しくなった10月過ぎにバイクが来て、それに乗って延岡まで帰るつもりだったのだが、今はまだまだ暑い。この暑い中、サイクリングはいやだ。だいたい7月からは暑さゆえにサイクリングしてないし。
 といって、車に積んで持って来るのも気がのらない。自転車は走らせてなんぼのもの。自転車で走行できる距離をわざわざ車で運ぶのはナンセンスな気がするし、だいたい私のサイクリスト魂が、車での搬送を拒否してしまう。お前にサイクリスト魂なんてあったのかいと言われると、まあほんとのところ自信などないのだが。

 とりあえずJRで宮崎市に行き、そこでEPSを受け取り軽快にLet’s Go!

 …のはずだったが、ロードバイクってポジションの取り方やら、ギアチェンジのやり方が今までのクロスバイクと相当に変わっており、進むこと100メートルもしないうちに、ギアチェンジに失敗し、フロントのチェーンが外れてしまった。チェーンをはめなおして走りだすも、またギアチェンジに失敗しチェーンが外れる。どうにも困っていると、先ほどりんりん館を訪れていて雑談をした「輝ける黄昏を目指して」氏が車で通りかかり、自転車を調べて、助け舟を出してくれた。ギアチェンジの微妙な設定が玄人向けになっているみたいであった。これは私には制御は無理なので、またりんりん館に戻り、設定を素人向けに変えてもらい、再出発。

 さて、慣れぬロードバイクで、87kmの道を行くぞう。

【りんりん館 出発前のEPS】
Eps


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September 01, 2009

衆院選で民主党が大勝したわけだが。

 8月30日の衆院選はマスコミの予想通りに民主党が大勝を収め、政権交代が現実のものとなった。
 政権交代を可能にすることが小選挙区制度導入の目的であったわけだから、選挙制度改革は成功したといえる。とはいえ、政権交代が可能になるのは、あくまでも政治運営能力を持つ政党が存在するというのが前提で、いくらなんでも今の民主党にその力があるとは思えず、そうなると小選挙区制のまずい面がもろに出てしまったわけで、これは大変なことになりそうだ。

 民主党を私がすごく気にいらないのは、「子ども手当」「農業個別保障」「高速道路無料化」「後期高齢者医療制度廃止」等、最初には心地よく聞こえるけど、いざ実行するとあとでろくでもない目にあうに決まっているマニュフェストを堂々と提示したところである。こんなものを国民が有難がると本気で思っているところが、時代錯誤というか、無思慮というか、無知蒙昧の極みというか、…要は国民をなめているのである。それこそ、中国の故事の朝三暮四に出てくるエテ公程度に、国民を思っているのでしょう。

 政権交代は実現してしまったから、無経験の民主党を国民が我慢して育てればいいという意見もあると思うが、それは絶対に無理なのである。
 これは断言できる。

 政党政治には機能する政党が必要だ。そして機能する政党の存在には、政党どうしが互いより高い能力をつけるために自ら切磋琢磨し、そして国民が支持政党を応援するという態勢が必要になる。しかし日本においては政党の能力を高める機能はなかった。政党は自らを高める努力よりも、他党の足の引っ張ることに努力の全てをささげ、そしてその足の引っ張り合いに、国民全体が賛同し加勢してしまっていた。
 政党政治は大正時代から日本で行われているのだが、野党は政策を担当している与党を、政策論とかではなく、国益を無視したつまらない周辺のスキャンダルみたいなもので攻撃する。これに国民・マスコミ、さらには検察までが加わり、政権が瓦解し、事態は悪化の一方となる。そういうことをえんえんと繰り返してきた。政党政治が成り立って以来、日本の政治はずっとこのパターンであり、おそらく政党政治は日本で実行するには、なにか決定的に無理のある制度なのである。
 80年間こんなことをやっていた日本の政治風土で、今回の民主党ばかりがそれを逃れることはありえない。
 民主党政権も、結局はつまらぬスキャンダルで崩壊するであろう。

 ついでにいえば鳩山総裁の祖父、鳩山一郎氏も政友会にいたときに、与党の立憲民政党の浜口雄幸が軍事費を減らしたこと(これは国民的に不人気な政策であったが、国益のためには正しかった)を、党利のために攻撃し、そのせいで軍隊が野党の口車に乗って統帥権を主張するにいたり、軍部の暴走を招いている。たかが野党の党利党略が、大戦の原因の一つとなり、国を滅ぼしてしまったわけだ。鳩山一郎氏はこの責をとらされ、戦後は米国により公職追放の憂き目にあったが、私などからすればこういう人こそ戦犯として裁いてほしかったわい。

 話は戻るが、日本の政党政治が足の引っ張り合いに徹する以上、自民党もまた自ら非難していた民主党以下の抵抗野党に成り下がり、ひたすら反対、なんでも反対、スキャンダル指摘放題の国会運営をするのは火をみるよりも明らかである。よせ集めの民主党がそれに耐える力があるとも思えず、民主も自民も四散していって、政治はまったく運営できなくなっていくであろう。四年間の政治が機能しない時代を我々は迎えたわけだ。
 日本はそんなことやってる場合じゃないんだけどね。

 組閣もしていないのに何を悲観的な意見をとも思われようが、細川内閣以来の政治のドタバタ劇をじっさいにみてきて、また歴史書で日本の政治を学んできた私の、当たってほしくはないが、当たるに違いない予想である。

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