鮨:夏の鮨匠のむら
夏に鹿児島市を訪れる気はとてもしないのだが、ちょいとした用事があり、暑いなか鹿児島市へと着。
鹿児島、暑いっす。鹿児島に降り立つとただちに熱風が吹きつけてきて、立っているだけで身体中に熱がこもってしまう。さすが亜熱帯。
夕刻のむらを訪れ、命がよみがえるような生ビールをまずはぐいぐいと飲む。
今日も山登りの帰りですか、と店主がたずねる。こんな気候のなか、無理ですって。
さて、今の時期ののむらは赤雲丹が途方もなく美味くなってきているはずであり、これをまずは楽しみにしていた。
のむらの赤雲丹は、最高の時期には言葉を失うくらいに美味くなる。
以前この店を贔屓にしているロッテマリーンズのS選手が雲丹を食いたくなり、同僚に「日本一の雲丹を食わせてやる」と言って、羽田空港に連れて行った。同僚氏はてっきり北海道に向かうかと思いきや、なぜか飛行機の行先は鹿児島であった。怪訝に思いながらのむらに連れて行かれた同僚氏は、そこで雲丹を一口食うや、確かに日本一の雲丹を食べていることを確信したそうだ。
まあ、そういうエピソードがあるくらいのすごい雲丹なのである。
その雲丹。
…美味い。とんでもなく、美味い。
盛夏を過ぎ、卵の一粒一粒の丸っこい食感が感じられるくらいまで熟れてきている。味は甘く、旨みも十分。特筆すべきは、味の純粋さ。この甘みと旨み以外には、余計な味はなく、ただただ甘みと旨みが口のなかいっぱいに広がる。
雲丹の素材が極上とはいえ、それを殻から出しただけではこのような味にはならない。しっかりと寝かせて、身が崩れる前ぎりぎりのタイミングで出すから、ここまで濃厚な美味さを発現できるのであろう。
ただただ、言葉もなく雲丹をがつがつと食う。(ついでにがんがんと酒を飲む)
本日の肴に鮨は、メイチダイ、ロウニンアジ、スジコ、丸サバ、タコ、シャコ、マグロ、アマダイ、エビ、サヨリ、サンマ、イワシなどなど。
どれもが素晴らしく美味い。
雲丹がそうであったように、のむらの料理は素材が抜群によいのに加え、その手当が高いレベルで為されている。最初の魚が獲れたときから、馴染みの漁師によって細心の注意をもって〆られており、それにのむら独自の調理が加わり、素材となる魚が、その魚の最も美味しい形となって料理となる。食われる魚としても、魚冥利に尽きるであろうという、そんな料理だ。
地元の素材を大事にするのむらならではの海老料理。
鹿児島特産のボタンエビみたいな海老だそうだ。(正確な名前忘れた)
清冽な甘みがたいへんよろしい。
この筋子も素晴らしい。味の豊かさは、あの極上の雲丹にも負けないくらい。
その雲丹と筋子のコラボレーション。
お互いの味がジャマすることもなく、相乗効果で、面白みのある豊かな味の丼となっている。
夏も盛りを過ぎ、魚は明らかによくなってきている。
本日の店主はノリノリであり、(まあ、いつもノリのいい人ではあるが)、美味い素材を得て美味い料理を出す喜びのオーラを発散させながらの、のむら劇場であった。
開幕から閉幕まで、十二分に堪能させていただきました。
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Comments
I found this blog. This post VERY interesting.
Posted by: ArricFemamide | September 25, 2010 07:22 PM
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Posted by: Kayaniedesy | September 30, 2010 12:17 PM