読書: K2 苦難の道程 出利葉義次 著
東海大学は山岳部創設50年の記念としてヒマラヤ登山を計画する。
東海大学山岳部は8000mを超える山を経験したことがなかったので、目標とする山をK2とした。K2は標高8611m、エベレストに次いで世界で2番目に高い山であるが、難易度はエベレストよりも格段に高く、世界一登頂が難しい山とされる。
なぜそのような山を8000m級の山の経験がない東海大学隊が選んだかというと、「登山は安全が第一なのはもちろんだが、8000mを超える山はどれだって危険だ。ならば一番危険な山を選んだほうが、かえって緊張感が保たれ、油断も生じないであろうから、安全性が高くなる」という、わかったようなわからないような理論により隊長が決断したからだ。
途中は省くとして、登山隊は総力をかけてアタックキャンプ設営に成功し、選抜された3名による登山隊が登頂にトライすることになった。ベテラン1名と若者2名(学生1名と卒業して間もない女性1名)からなるアタック隊は順調に高度を稼いでいったが、最も頼りとなるベテランが急病のため下山を余儀なくされる。ここで残った2名は登頂の続行を無線で隊長に懇願する。経験少なき若者を、世界で最も厳しい山の頂へ向かわせるべきか、どうか。隊長は、Go signを決断する。
2名はアタックキャンプから14時間をかけ、苦闘のすえK2登頂に成功する。しかし下山は登り以上に困難を極めた。疲労はつのり、酸素もなくなった状態で8200mの高さで夜に決死の露営を行う。幸運なことに天候が崩れなかったおかげで、彼らは過酷な露営をのりきり、なんとかアタックキャンプにたどりついた。この間、無線連絡はとだえ、アタック隊の生還の可能性がどんどん少なくなっていく。その時間を、全責任者である隊長は、生きた心地もせず過ごすことになる。
生存と再出発の知らせが無線で届いたときの登山隊の歓喜は、だからより感動的に迫って来る。
K2サミッターは登山者の最大級の勲章であり、K2に登った者はそれだけで一目置かれる存在となる。無事ベースキャンプにたどりついた若者2名は、いずれも出身地で表彰されている。
というふうな東海大学隊の登山記録なのであるが、…この本を読んであらためて山野井泰史氏の偉大さが分ってしまった。
山野井氏は、東海大と同じルートで彼らの2年前にK2登頂に成功している。元々山野井氏は、ポーランド人のクライマーとともにK2の巨大な壁をロッククライミングで登ってから登頂するつもりだったのだが、天候が悪いためクライマー氏はやる気をなくして帰国してしまった。残された山野井氏は、それじゃ一人でK2に登るかと、山稜伝いで登るルートで、単独・無酸素で登頂している。しかもベースキャンプから48時間という早さで。山野井氏の著作では、氏はあまりに淡々と、あっけなくK2に登頂しているので、私はK2もそんなにたいした山じゃないんだなあとか思ったが、もちろんそんなはずは全くなかったのが、東海大の本を読んでわかりました。
山野井氏はやはり別格の怪物だよなあ。世界最強かどうかはともかくとして、日本最強のクライマーであることは間違いない。
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K2 苦難の道程
参考 山野井泰史著 垂直の記憶
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