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July 18, 2009

創作系フランス料理:カハラ@大阪市曽根崎新地

 週末は大阪市へ出張。
 夜はどこか和食屋か寿司屋に行こうかと思っていたが、「光洋」で宮崎の食通W氏と雑談したとき、今度大阪に行くんですよ、お勧めの店はありますかとたずねたら、「カハラ」が大阪ではNo.1ですと勧められたので、それならばと「カハラ」に行くことにする。

 じつのところ「カハラ」は有名店なので、知ることは知っていたが、創作系フランス料理ということで、足が向かなかった。でもW氏も勧めるし、また福岡の鮨マニアT氏も絶賛していた。W氏もT氏も大の和食党であり、そういう人たちが太鼓判を押すからには、和料理好みの人にも、十分にフィットする繊細系のフランス料理と予想したのである。

 その予想は、結局当たらずとも外れもせずといったところであったが…ともかくの感想として、すごい料理を食ってしまった。
 その料理の数々の紹介。

【泥鰌バジルシード和え】
Loach

 泥鰌というと柳川鍋くらいしか私は料理法を知らないけど、これは初めて食べる泥鰌料理。
 味付けをして柔らかく焼いた泥鰌に、寒天状のバジルシードを和えている。泥鰌の溶けるように柔らかい食感を、プチプチしたバジルシードが支えて、両者合わせてなんとも不思議な歯ごたえを感じさせる。それを包むスープは、かなり濃厚で、この個性強い両者に負けていない。

【アワビ、野菜、キノコとカチョカバロ 1】
Abalon

 続いての料理は、森シェフがこのチーズを使いますと、まずは吉田農場の瓢箪型のチーズ、カチョカバロを客に見せて、それから出ます。
 その料理、たしかにカチョカバロを細かく摺って盛り上げたもののようだが、中が見えない。それで、チーズをちょいとどけて、改めて写真の撮りなおし。

【アワビ、野菜、キノコとカチョカバロ 2】
Abalon2

 カチョカバロに埋もれていたものは、揚げアワビに、韓国産ズッキーニに、ブラウンマッシュルーム。それぞれにほどよい味付けをして、揚げ、焼いている。アワビは上手な揚げ方で、うまく美味さを凝集している。噛めば、美味さがポンと花開く感じ。野菜も、新鮮なものでしゃっきりした食感がよろしい。
 これらの優れものの食材のうえにどっさりとカチョバロが載せられているので、それとともに食べる仕組みになっているのであるが、…あっさり味のカチョカバロとはいえ、元はチーズだけあってチーズの味は豊潤。チーズと具材の味がぶつかりあい、なんとも奇抜な味を感じる料理となっている。


【八寸】
Hassun

 合鴨のマスタード和え、生ハムとスイカ、ミニミニトマト、ピスタチオの唐揚げ、ママカリ、ライムを器としたジュンサイ、ジャガイモを連ねて揚げたもの、ホテタとチーズの餃子。
 洋風の八寸である。それぞれにすごい手間がかけられており、またちょっとした工夫が楽しい。ジュンサイは、ライムの器に口をつけて食べるので、ライムの香りが豊か。

【ホンビノス貝焼き】
Kai

 ホンビノス貝は、近頃東京湾で獲れ出した新登場の貝で、蛤の仲間らしい。
 新たな食材ということで、素材の探求に目のない森シェフがさっそく築地から手に入れ、蛤の塩焼き風に、貝殻を小鍋にしてコンスメスープで煮ながら焼いたもの。
 貝のぷりぷりした食感は見事だが、味はといえば普通に蛤のほうが美味に思える。しかしそういう貝の味云々などどうでもよくなるほど、コンソメは濃厚で力強く、圧倒的な存在感を示す美味なるスープ。

【ハモ・モッツァレラチーズ・イカスミ+ビーフン】
Hamo

 それぞれ個性ある食材の組み合わせであり、…どうやって食うのがよく分からなかったので、ハモ・チーズ・イカスミかけビーフン、それぞれずつ食べました。
 モッツァレラチーズは、なんと日本産。だから鮮度がよい。なんでも宮崎県都農町に、イタリア水牛の牧場があって、そこで作られる作りたてのモッツァレラチーズを取り寄せているそうだ。たしかにいかにもフレッシュという食感であった。ハモも、イカスミビーフンは、それぞれ個性強い料理である。

 この五品が出てきて、次にカハラ名物のメイン料理、牛肉のミルフィーユ登場となるわけだが。

 カハラの料理はどれも全力投球であり、素材、技術、創意工夫、いずれも高い水準にある。ただ、こういう全力投球の料理が次々に出てくると、なんというか、料理の流れが、4番バッターばかりを並べた野球チームのように感じられ、食べていて少々疲れてくる。いわゆる、「これでもか」の御馳走責めであり、もうちょっと遊びというか、軽さがほしくなるような…。

【牛肉焼き1】
Beef

【牛肉焼き2】
Beef2

 カハラ名物、伊賀牛のミルフィーユ。
 薄切りにした牛肉を5枚重ねて、外の肉片はよく焼き、中の肉片はレアでジューシィ。肉の食感と味が、グラデュェーションをもって口の中で複雑に広がる。
 森シェフが、「肉を最も美味しく食べさせる方法」として編み出した調理法であり、たしかに凄みを感じさせる料理なのだが、…今までの濃い系統の料理の仕上げとして、この料理は中年族の胃袋にはちと重たすぎのような気がする。

【焼きトウモロコシ御飯】
Corn_rice

 〆はトウモロコシ御飯である。
 気分的にはもうお茶漬けで結構と思う頃であり、御飯ものもそのたぐいのあっさり系統で来てほしいと思うけど、この店はそういう楽はさせてくれない。
 このトウモロコシ御飯も、全力投球もの。
 御飯ものといっても、ここでは、甘く、旨みたっぷりのトウモロコシが主役であり、それだけでは単調気味となるのを、柔らかく炊いた御飯がアクセントを与えて支え、豊かな味の混ぜ御飯となっている。その味の豊かさといえば、私が素で食う気にならずに、赤ワインとともに食べたくらい、メインディッシュ並みのレベルのものなのである。

 このあとはデザートを食べ終了。

 なんとも、すごい料理のシリーズであった。
 絵でいえば極彩色のルノワールの名画ばかりを観たような、音楽でいえば後期ロマン派の交響曲を立て続けに聞いたような感じであり、素晴らしいものを体験した充実感はあるが、しかしどこか精神的に疲れを感じてしまう、そういう食体験であった。

 カハラ、この店はたしかにオンリーワンと言える店であり、「食の体力」がある人には、このうえなく魅力あふれる店だろうなあと思いました。


………………………
カハラ 大阪府大阪市北区曾根崎新地1丁目9−2岸本ビル TEL 06-6345-6778

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Comments

こんばんは!

25年くらい前になりますでしょうか、若い時、職場の先輩達と食べ歩きをした時期がありました。
その頃、売り出し中の「カハラ」へ行ったことがあります。
仲間が「カハラの欧風料理」を購入したのがきっかけでした。

はっきりとした記憶は薄れているのですが、フレンチ懐石というか、あっさりとした和を取り入れた料理だった気がします。
若い時の胃袋にはもの足りない料理でした。

今は、歳取った胃袋には無理な料理みたいですね。

Posted by: あびたろう | August 02, 2009 11:03 PM

25年前のカハラを経験しているとは、さすが、あびたろうさんです。
カハラの料理、素材は和風なんですけど、味つけについては強い味を塗り重ねていく、多層的なものになっており、食い進めて行くうち、きつくなってしまいます。
まだ若くて「食の体力」があるころは、この手の多層的味付けの料理は、極上に感じられたかもしれませんが、中年族にはきついです。

量については焼肉店のハシゴをするくらいに体力のある福岡市の食通氏(http://u.tabelog.com/000063107/r/rvwlst/27/)
も、カハラには牛肉のところでダウンしてしまったと言っておられます。やはり質が強すぎるのでしょう。

ただ、カハラの料理、たしかに世評どおりオンリーワンのものであり、一度は経験すべきものだと思います。
訪店する前、参考に森シェフの料理のレシピ集「ごちそうものがたり」を読みましたが、家庭でも作れる酒の肴の一品料理という感じで並べられている料理、レシピを読むと、半日がかりでスープをつくったり、複雑な香辛料を用いたりで、とんでもない手間隙がかかっており、とてもとても素人に作れるものではないと思いました。
簡単にそうに見えるこの肴にこんなに手間隙かかっているのに、店で出す華麗な料理には、どこまで手間隙かかっているかと思うと、空恐ろしくなるものを感じてしまいました。

Posted by: 管理人 | August 04, 2009 12:25 AM

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