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June 16, 2009

映画:ターミネーター4

 ターミネーター2で出場する、成人したジョン・コナー。
 機械との戦いの場。仁王立ちで、双眼鏡で戦況を覗きながら、的確に戦術を指示する姿は、歴戦の戦いを物語る、大きな傷跡を顔に持つ風貌とあいまい、カリスマ性たっぷりの存在であった。

 T2における少年ジョン・コナーは、悪ガキながら、知能が高く、実行力もあり、勇気あふれる人間であり、このまま行けば、人類の救世主として成長していくこと間違いなき人物であった。
 しかしながらT3でのジョンは、審判の日を回避できたという安心感から、ふぬけ状態になり、しかし審判の日が来ることを心の奥で否定できず、それから逃げることを人生の目的としている、駄目人間となって再登場している。

 ターミネーターは、本来は2作目で終わっていた作品である。
 映画はそれで完結していたし、小説でも、世界核戦争の「審判の日」を回避できたのちは、それからも審判の日が起きぬことに努力する、成人し、合衆国上院議員になったジョン・コナーをサラ・コナーが見守るシーンで終わっている。

 ただ、その結末はやはり甘い。
 未来からとんでもない、「自分で思索する」演算機械が持ち込まれて、それがコンピューターシステムにすでに取り込まれていた世界では、人類を異物と認識し、破壊を挑むコンピューターシステムが誕生するのは当然の話であり、T2で話が終わらす、T3に進むのは、まったくおかしくないと思う。

 それゆえ、ジョンの不安は当然であり、ジョンがああいう苦悩する世捨て人になってしまったのは、かえって物語としては正しく思える。

 T3からはジョンの再生の物語であり、T3はジョンがいかに生き残るかの物語、そしてT4では、その戦闘能力を生かして大佐クラスの位置にいるジョンが、いかに人々の信望を集め、指揮権を得るにいたるかの物語が描かれている。
 まだまだ、T2、あるいはT3で描かれた救世主ジョン・コナーにはほど遠い姿だが、これはこれでいい。そして、名優クリスチャン・ベールは、ジョンが救世主に成長していく物語を、うまく演じきってくれるでしょう。


 さて、ジョン・コナーには、これからすごいことを2つしなければならない運命が待ち受けている。
 一つは、自分の父親を、戻ること不可能な時間の旅に送り込むこと。しかも、それは父がターミネーターとの戦いで死ぬことを、あらかじめ知っている、二重の意味での、回帰不可能な残酷な行為である。
 もう一つは、自分を助けてくれて、自分の父親のように思っていたが、しかし自死を選ばざるを得なかったターミネーターを過去に送り込むこと。映画では描かれていなかったが、小説のなかで、スカイネット本部でずらりと並ぶ、どれも同じようなT-800のなかから、「これだ」と、少年時代に共に戦ったターミネーターを選ぶシーンがあり、そこではそのときのジョンの哀しみがうまく描写されていて、小説中いちばん印象に残るところであった。

 T5、T6では、その重苦しくも辛い、しかしやらねばならないことを、敢然と行う、英雄ジョン・コナーが登場するわけである。
 T4では、そこまでの貫禄を得ていないジョンであるが、続編では、それを敢行できるまでに成長していくジョンの物語が描かれることになるでありましょう。

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ターミネーター4


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