別府現代美術フェスティバル@別府市
別府で4月から6月14日まで、町の生活空間を使って現代アートを展示する「混浴温泉世界」なる催しが開かれている。NHKの番組で紹介されていたのをみて、なかなか面白そうだったので、寄ってみることにした。
会場は、別府駅前商店街と、鉄輪温泉地区、フェリー乗り場の3つに分かれており、とりあえずは駅前から訪ねる。
訪れて、驚いた。
町は尋常でなく寂れている。ゴーストタウンとまではいわないが、閑古鳥が集団で飛び回っているような、閑散たる町。
日曜というのにシャッターのおろされた店ばかりで、活気というものがまったくない。たまに開いている店も、客は少なく、店員は手持ちぶさた。
駅前商店街の過疎化は、全国的現象とはいえるものの、別府の商店街は規模が大きいだけに、その寂れ方は、町そのものが捨てられてしまったようなスケールの大きさがある。
かつては東の熱海・西の別府とまで称され、全国からたくさんの行楽客を集めた、日本を代表する温泉観光地である別府が、ここまで凋落していたとは、…しばし唖然とした。
今回のフェティバルは、この衰退をなんとかするべく、現代アート展で人集めをして、活気を取り戻そうという趣旨のものだったらしい。
しかし、廃墟になりかけたような町で、ところどころ設置されている作品を眺めていると、それらがそれなりに美しく新鮮さがあるだけに、なんとも町の風景とはミスマッチングであり、作品群は、滅び行くものへ捧げる燈明とか、お供え物のような、供養と祈念のためのもののように思えてしまった。その意味では、全体として、胸に迫るものを感じた。
商店街とは少し離れたところにも作品展示場がある。
もう使うこともなくなってしまったようなアパートを使って、一室ごとに、違う作者が作品をごちゃごちゃと並べている。
けっこうまともな現代アートが飾られていた商店街と違い、こちらは、美術学校生の卒業制作展という雰囲気が満ち満ちており、作品の出来はともかくとして、元気と活気が感じられ、楽しかった。
これ、フェスティバルが終わると撤収するんだろうけど、ちょっと勿体ない。
それぞれのアート展示場を訪れるうち、だいたい別府の中心地はほぼ歩くことができた。別府を紹介する意味では、展示場はうまく設置できていたと思う。
本日は「現代美術フェスティバル」の日なので、町を訪れてきた人は、妙にアーティスト風のかっこうをした人が多く、町の写真もよく撮っていた。その姿をみて、地元の人が「こんな寂れたところを撮らないでくれよう」と、笑って言っていたのが、印象的であった。
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別府混浴温泉世界
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