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June 27, 2009

シンコ@光洋

 夏が来ればシンコが食べたくなる。
 なぜなら、シンコは文句なしに美味く、また夏の始まりにしか食べられないからだ。(言うだけ野暮か)
 コノシロの若魚のコハダも寿司種としては抜群の素材だけど、シンコはそれとは異なる食感と味覚があり、シンコ独自の旨さを持っていて、初夏を迎えるとぜひとも食べたくなる鮨である。

 このシンコは店泣かせということでも有名だ。
 シンコは、なにしろ値の高い魚であり、走りの頃はキロ5万円を超えるのは当たり前で、旬の国産マツタケを軽く超えてしまう。こんな高価なネタを、仕入れ値段相当の値で出せば、鮨一貫とんでもない値段となり、とてもその値段では出せず、シンコを出すならば店は赤字覚悟で出さねばならない。
 さらにシンコは夜店の金魚すくいの金魚なみのサイズの魚ゆえ、そんな小さな魚を一定量の数捌くだけでも、気の遠くなるような話だ。
 さんざん手間暇かけて、それでやっと出しても、赤字が必然という鮨では、店主にモチベーションが上がるはずもなく、だから九州では「うちは旬を大事にする店なんだ」とか「うちは真っ当な江戸前寿司店なんだ」とかの意地を持っている、ある意味物好きな店主のいる店以外では、シンコが出てくることはない。

 以前は、福岡の安春計くらいしかシンコを出す店を知らなかったので、夏ごとに安春計に行っていたけど、(…今年も行くけど)、宮崎でも光洋がシンコを出すことを昨年から知り、本年も今年初のシンコを食いに行った。

 店に入ると、なぜか店主はスキンヘッド。なにか悪いことをしたとかのウワサは聞いたことはないので、頭を丸めたのは、あら輝さんや、さわ田さんたちのニューウェーブ系寿司店をまねたのでありましょうか? 体格の良い店主が、これで背広着て街を歩いてると迫力あるだろうなあ、とか思いつつ、お任せを頼む。

 さて、コースで出てきたシンコ。

【シンコ3枚つけ】
Shinko1

 美しい鮨です。
 これを口に放り込むと、シンコ独特のモゾモゾした、活きのよい食感が愉しめるが…、ちょっと〆過ぎか。コノシロという魚は成長につれ、妙に鈍重な魚臭さが出てくるという困った魚だが、シンコくらいだと、この魚が基本的にまとっている爽やかな香りがダイレクトに口のなかに広がり、それが楽しいのだけど、このシンコはしっかりと〆ており、その軽やかな食感が楽しめない。

 しかし、二貫目に出てきたシンコは浅めの〆で、シンコの香りがふんわりと広がり、これは好みであった。
 店主としては、シンコ自体の味の淡さを補うために最初のものは強めに〆て、寝かせたのかもしれない。たしかにこのようなシンコを好む人もいるだろうし、…まあ、試行錯誤中なんでしょうな。

【シンコ】
Shinko_dish

 シンコ、ツケ場に出すだけで、こんなに仕入れて仕込んでいるのである。
 皿の上を、ぴちぴちと泳ぐかのごとき、活きを感じさせる仕込み。これを箸で、ずず~と何枚も一挙にさらって頬張って食うと、満足感いっぱいなのだろうけど、それをやると店出入り禁止になるから、やめておいた。

 シンコ、電車で1時間の宮崎市で食うことができるのはとても有難いことだ。しばらく前なら、宮崎でシンコが食えるなんて、とても信じられなかったことだろうな。
 店主は「西日本で一番早くシンコを出す店です」と自慢していが、……甘い。
 「近松じゃあ、先週出てたそうですよ」と、ぼそりと、いらぬことを言っておいた。

 お目当てのシンコ以外にも、美味い肴、鮨のオンパレードで、初夏の光洋を、十分に楽しませてもらった。
 今回はシンコを食ったことがないという者を、ならば今の季節しか食えないので一回くらい食ってみろよと、連れて行ったのであるが、出てくる料理の美味さに感嘆しながら、ついでにシンコも感嘆しながら、さんざんに酒を飲んでいた。
 私の連れてくる客は、どうしてどいつもこいつも大酒飲みばかりなのだろうと、店の人は思ったかもしれないが、べつだん類は友を呼ぶというわけではなく、料理と酒が美味いから、いくらでも飲めるのであります。

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