登山:韓国岳 ミヤマキリシマ
5月下旬から6月中旬にかけて、九州の山ではミヤマキリシマが開花の時期を迎える。
ミヤマキリシマは、硫黄の臭いのする、火山の煙が漂ってくるところでしか花をつけない植物である。山頂近くでは、硫黄の濃度が高くなるみたいで、そんな過酷な環境では他に育つ樹々とて少なく、岩肌一面にミヤマキリシマのみが群生して、それが、いっせいにピンクの花を咲かせるさまは、山がピンクに発火したような華やかさがあり、この季節のたびに、その華やかさを求め山に登ることになる。
ミヤマキリシマの九州での開花の順は、南からであり、霧島→九重→雲仙の順に開花していく。5月下旬においては、まずは霧島が満開の時期を迎えているであろうから、霧島に行くことにする。
えびの高原の「つつじヶ丘」では、ミヤマキリシマは既に満開であり、丘全体がピンクに染まり、たいそうきれいであった。観光客も多く、道のわきは駐車している車がいっぱいだ。
この満開の花を見て、それで満足してもいいわけだが、ミヤマキリシマ(深山霧島)は、名前の通り山の中にあってこそその存在感を際立たせる花であり、予定通りに韓国岳に向かう。
えびの高原から直接韓国岳に登るルートは、途中でのミヤマキリシマの量が少ないので、いったん下って、よりミヤマキリシマを楽しめる大浪池ルートで登ってみた。
登山口から登ること30分ほどして大浪池に到着。見ての通りの、まん丸い元噴火口である。
さて、ここで問題発生。韓国岳は、この池を半周ぐるりと回って、その先にあるのだけど、そこには霧がかかっており、正面にあるべきはずの姿が見えない。「霧島」という名前が示すとおり、この山系は霧がかかること多き山であり、霧がかかることはべつだん珍しいことでもないのだが、霧の中の登山って、あんまり面白いものではないんだよなあ。登山のモチベーションが落ちてしまう。
ま、今回はミヤマキリシマが目当てなので、気にせず登山を続けることにする。
大浪池を巡る登山道。
植生は豊かであり、照葉樹に交じって、ミヤマキリシマとミツバツツジがピンクと赤の花を咲かせており、互いに色が映えている。
大浪池を半周まわって、それからいったん下りてから、韓国岳登山口に到る。そこからは、木製の階段が設置された、よく整備された登山道を行くことになる。
七合目を超えたあたりから、植生はミヤマキリシマ優位となる。まだ三分咲きくらいで、蕾のほうが目立っている。
あと1~2週間くらいしてからが、山頂近傍のミヤマキリシマの開花のピークであろう。
霧の中を黙々と登って行き、霧を透かして山頂の標識がぼんやり見えてきて、しばらく歩くうち、あっさりと山頂着。
当たり前のことながら、霧だらけで、遠景はまったく望めず。山頂から覗きこめるはずの、旧噴火口も、霧で埋まっていた。
とりあえず頂上着の写真は撮ってはみたものの、光が乏しいせいで、モノクロ写真みたいだなあ。
あとは、また黙々と来た道を引き返すのみ。
この登山道の下りは、霧や雨のときは、急な木製の階段がたいへん滑りやすく、視界が悪いことも相まって、難易度の高い道と化す。私は幾度も、この階段でつるりとこけて、ずでででんと落ちていく人を見たことがあるが、幸いそのようなミスはおかすことはなく、無事に登山口に着。
さて、朝・昼と何も食わずに山に登ったせいで、けっこう腹が減った。
これから鹿児島市へと行き、「鮨匠のむら」で、がっつりと美味いものを食い、美味い酒をぐいぐいと飲むことにしよう。
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