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April 04, 2009

映画:ウォッチメン

 予告編ではアメリカン・ヒーローの連続殺人事件と語られていたので、原作を知らないことから、ヒーローに自分勝手な怨恨を持つ男の復讐劇である「ジ・インクレディブルズ」みたいな映画を予想していたが、本編をみると全然連続殺人事件などではなく、滅亡の危機に陥った世界で悪戦苦闘するヒーロー達の内輪もめの物語であった。(妙な予告編をつくるんじゃねえよ)

 この映画は、とてもいいです。
 特に50~60歳代の人には、リアルタイムで見た歴史が、この映画の解釈で再現される映像で観ることができるわけで、心に響くものがあると思う。
 最初のオープニング、watchmen openingで検索すれば、簡単に動画が見られるけど、これは傑作。「フォレスト・ガンプ」を5分間に縮めたような濃度で、アメリカの歴史を物語っている。二次大戦、キューバ危機、ベトナム戦争、アポロ計画、東欧動乱、ケネディ暗殺、ニクソンの選挙等の、アメリカが世界に関わり、あるいは関らなかった、アメリカの運命を決定づけるような事件が次々に写され、そしてそこに関与したエージェント「ウォッチメン」が出場した裏歴史も描出される。

 初代ウォッチメンは市民の嫌悪に負け自滅したのだが、ヒーローグループ次世代のウォッチメンも結局は、「自分たちより優れている存在は許せない」「超法規的存在は許せない」との市民の反発で、地に潜ることになる。しかしながら「一般市民より優れている存在」「超法規的存在」は、世界の秩序のためには必要なわけで、とりあえずアメリカは、ウォッチメンの一人コメディアンを雇い、ゴルゴ13みたいな仕事をさせる。彼は当たり前のことながら有能で、様々な外交的・政治的問題を解決する。(でも、ケネディを暗殺しちゃいかんだろ)。彼はそういう非合法な仕事に生きがいを感じ、仕事を遂行していったのだが、ある時旧ウォッチメンのメンバーが、非合法どころではないとんでもないことをやろうとしていることを知り、苦悩する。悩んでいるところに、秘密がばれそうなことを知り、口封じのために、その旧ウォッチメンが現れ、コメディアンをボコボコにするのが予告編のシーンだ。
 このシーン、コメディアンは必死の抵抗にもかかわらず、敵にダメージも与えられずに窓の外に放り投げられので、あまりに弱くみえるのだが、そうではない。コメディアンはとても強く、彼に勝てるのは世界で2人しかいないので、旧ウォッチメン(ネタバレすればヴェイト、というかネタバレじゃないよな)が、手下にまかせずに本人が直接現れたのだ。

 冒頭部の説明が長くなりすぎたので、あとは簡潔に。

 この映画は、あの暗く陰鬱な世界がいつ滅びてもいいような冷戦の時代(30年くらい前はほんとにそういう時代だったんだったのである。核の時計って、映画の話でなく、実際にあったんだから)に、それをなんとか解決しようとした、架空でありながら、リアル感ある、アメリカン・ヒーローの物語である。

 そのヒーローの紹介。

 (1) Dr.マンハッタン:核実験により、本物の超人になったヒーロー。時間・空間を超越した存在で、神に最も近い。ただし、まだ人間の心があり、現世、人間に執着するところがある。それを解決すれば、ほんとの神になれる。ただしほんものの神になってしまったら、人間に対する関心もなくなり、それこそ結局は空気みたいな存在になってしまう。それが神といえば神なんだろうけど。本人もその危惧を語っていた。
 (2) ヴェイト:才能あふれる人間が必死で努力することにより、最も神に近づくことができた、そういうヒーロー。現世では最高・最強の人間。彼は人類の破滅を防ぐために、ものすごい責任を背負って最善と思われる行動をする。それゆえ神マンハッタンに殺されそうになっても、信念は曲げない。その行為の後は、ただ一人南極に残り孤独な生活を送ることになる。能力ある人間は、それだけで多くの他人に対して責任を持つ存在になってしまう。ある意味、能天気なマンハッタンより、我々の概念からは神に近い存在といえる。

 あとは適当に

 (3) ロールシャッハ:非合法なヒーロー。彼もヒーローの責任感から、人間の悪をあばきだすのだが、非合法な手段によらず警官とかになったらよかったのでは? すごい数の犯罪者を刑務所に送ってるんだし。
 (4) コメディアン:歴史の裏の暗躍者。ケネディを暗殺し、ニクソン危機を助ける。共和党のシンパなのかな。映画の冒頭、襲ってきたヴェイトに抵抗するも、ボコボコにされて窓に放り投げられ、なんて弱いやつと思ったが、終末、ヴェイトと戦ったウォッチメンのダン+ロールシャット2人組が対抗もできずにボコボコにされる姿を見て、コメディアンじつは強かった、と思いなおしました。
 (5) ダン+ローリー
 ヒーローであり、当然強い。街のチンピラなど、相手にならない。(でも殺していいのか?)身体的能力は高いけれど、それを世のため人のためには使おうと思ってなく、自分たちのストレス発散に用いてる。ある意味、こういう気楽なヒーローが、現実的なヒーローとしての理想像なのかあ。上のヒーローがみな悲劇的であったのに、自分の力を自分の楽しみのために使っているヒーローがいちばん幸せそうにみえる。

 アメリカン ヒーローの物語は、アメリカ映画の一大分野になっており、多大な予算をかけるのが可能で、いい映画が多い。ウォッチメンも良作と思う。とくにウォッチメンでは、いままでの映画で現れた様々なヒーローの集大成劇となっており、いろんな有名なヒーローを投影した人物がそれぞれの個性を発揮した活躍をし、「ヒーローとともに歩んだ世界史(orアメリカ史)」という架空の世界史を説得力ある形で映像にしている。先にも書いたけど、冷戦を知っている世代には、ぜひとも見てほしい映画です。

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ウォッチメン 公式サイト

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