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April 04, 2009

寿司: 夢膳@福岡市博多駅南

 福岡で手に入る最良の素材を、金に糸目もつけずに集め、旬の最高のネタを、鮨に肴に供する店「夢膳」。銀座の「さわ田」の福岡版と言えばわかりやすいか。(でも、開店はたぶん夢膳の方が早いはずなので、「さわ田」が夢膳の東京版というほうが正確かも)

 まずは、お造りから。
Tsukuri

 以前は大皿にまとめて出されてきて、それは大皿をキャンパスにみたてた絵のようで美しかったのだが、いつの間にか趣向が変わったようで、一品ずつであった。鯛、カンパチ、アジ、カラスミなど。いずれも美味い。ただただ、美味い。

【ノドグロ】
Nodoguro

 焼物は、ノドグロ。これも美味い、ただただ美味い。
 …と同じようなことを書いていても面白くないのだが、じっさい食べてみると素材のすごさに圧倒される料理なんです。このノドグロの脂ののり方はすごいとしか言いようがなく、そして脂のよくのったノドグロが焼かれると、その脂で自らを温め旨くするという、「自分で自分を高める」という、ノドグロを誉めるしかない料理と化す。冬の時期、夢膳で食すノドグロは福岡の誇る名物と断言してよい。福岡で獲れたノドグロじゃないんだろうけど。
 今年の1月に宮崎の光洋で出てきたノドグロも立派なものであったが、記憶にある夢膳のノドグロに比べると一ランク下のものであったので、そのむね言うと(イヤな客なんです。私は)、夢膳さんとは比べないでくださいとのことであった。ま、そうでしょうな。

【茶碗蒸し】
Sirako

【吸い物】
Suimono

 椀物は、鯛の白子の茶碗蒸しと、白身の吸い物。
 夢膳の椀物は、出汁にものすごい特徴がある。私は椀物の出汁は、上方風の素材の旨さがくっきりと立ち上がってくる薄味のものが好きだけど、夢膳の出汁は、それと全く異なるものである。良質の昆布・鰹を濃厚に使って、それだけで独立するような力強い出汁であり、私はこの手のものは苦手なはずだが、夢膳レベルの濃くても美味い出汁なら、これはこれで文句のいいようのない独自の出汁だと思う。そして具材も、その出汁に負けぬ力強い味のものが使われ、椀物全体としてのバランスもよくとれている。

 造り、焼き物、椀物と進んで、次からは鮨となる。
 ずらりと写真で紹介。
【白身1】
1

【白身2】
2

【赤身ヅケ】
3

【赤貝】
8


【コハダ】
4_2


【ウニ】
5_2

【穴子】
6


 シャリは古式の手法でつくられた赤酢を用いている。この酢は通常の赤酢と比べ、酸味よりも旨みがよりまさったもので、シャリの味が豊かとなる。それに塩がよく利いており、シャリだけで極上の酒の肴となるような逸品である。
 マグロもいつも良質なものを使っている。これを江戸前風にヅケており、シャリとあわせて江戸前の鮨となっている。コハダや穴子も江戸前の調理法であり、江戸前鮨です。しかし白身や赤貝はアサツキやゴマ、柑桔などを用いて、足し算のやりかたで美味さを高めていく博多風の鮨。

 夢膳の鮨は不思議な鮨である。ネタもシャリも極上に近いものを用いており、食べていてどちらの美味さも口のなかに広がるのだけど、それが一体となって、一点に着地していくようなことはなく、落としどころがないまま美味さが拡散していって、なにか最後には印象が淡くなってしまう、そういう浮遊感を感じる鮨に私には感じられる。シャリもネタも年月ごとに変ってきているのだけど、この浮遊感だけはずっと変らないので、たぶんこれが店主の鮨のスタイルなんだろうな。もちろん、こういうタイプの鮨も私は好きである。

 店主は北九州市黒崎のプリンスホテルで長いこと寿司部門の料理長を勤めていて、その後博多に店を開いた。夢膳の名前が示すように、夢のように豪華なご馳走が次々と供される、和食・寿司の名店。造り、焼物、椀物、鮨、フルコース全部食べるとかなり値の張る店ですが、その値段を出す価値のある店です。

 私が料理の写真を撮っていると、店主が「自分も撮ってくれ」というので一枚撮りました。
 店と店主の写真であります。雑誌「家庭画報」が取材に来たとのことで、家庭画報ではもっといい写真写りで載っていることでありましょう。

Yumezen

……………………………………………………
夢膳 福岡市博多区博多駅南4-12-33 TEL. 092-431-3301

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Comments

こんばんは、はじめまして。
大好物のノド黒に釣られました。
とても美味しそうです、いや美味しいに違いないですね。

寿司も激しく大好物ですが、最近食しておりません。
目で味合わせて頂きます。

Posted by: ちゃろちゃん | April 18, 2009 12:59 AM

 はじめまして。当ブログへの訪問ありがとうございます。
 ノドグロは北陸や山陰などの当地限定の名物だったみたいですが、ちかごろはその美味しさが全国に知れ渡り、九州でも出す店が増えてきています。そのなかでも夢膳のノドグロは図抜けたレベルのものであり、(福岡の魚市場で最良のノドグロを言い値で仕入れているそうです)、冬の楽しみにしています。
 ちゃろちゃんさんは、ちゃろちゃんねるの方ですよねえ…?
 日本全国の高級旅館、アタリの宿に歓喜し、ハズレの宿で落ち込む、赤裸々にして身につまされるレポートをとても面白く読ませてもらっています。
 これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: 管理人 | April 18, 2009 11:36 PM

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