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April 2009の記事

April 26, 2009

サイクリング:祝子川~大崩山登山口

 延岡から自転車で容易(?)に行ける大きな山としては、まず大崩山があげられる。山頂まで行くのはもちろん無理だが、標高600メートルくらいの高さにある登山口までは舗装道が続いており、ゆったりと登っていく坂道が楽しめそうなルートである。先週は海沿いの道を行ったので、今回は山方面を走りたい。
 しかし、本日は台風なみの威力を持つ二つ玉低気圧が日本列島を縦断し、その気圧相応のやはり台風なみの暴風が吹き荒れ、とても外出する気分になれない。しかし、午後になって風が弱まってきたので、午後4時を過ぎて出かけることにする。

【祝子川】
Houri_river_1

 最初のころは祝子川はゆったりとした流れの川である。道はずっと川沿いを走ることになる。

【案山子】
Kakashi

 行程の半分くらいで、このような案山子の群れが出迎えてくれる。周囲に田圃があるというわけではなく、いまいち存在意義が不明な案山子だ。

【祝子川】
Houri_river2

 祝子川も中流を過ぎると、渓流のような雰囲気になってくる。ボルダリングに適した岩がゴロゴロと転がっていて、もう少し交通の便のいい地であれば、ボルダー人気の好スポットになれたかもしれない。

 上流になるにつれ、岩のサイズも大きくなってくるが、突然にダムが現れ、ダム以後はダム湖周辺の平坦な道を行くことになる。1.5kmほど平坦な道を行き、ダムから離れると、廃校になった小中学校の建物が、廃校の記念の碑とともにあり、少々の物悲しさを感じさせる。とはいえ、この人家もほとんどないようなところに、5年前まで学校が存続していたことのほうが不思議にも思える。かつては林業などが盛んだったのだろうか?

【祝子川温泉「美人の湯」】
Hot_spring

 学校の跡地を過ぎると、また坂が始まり、しばらくして大崩山登山者のための茶屋が現れる。オデンのいい匂いをかぎながら、さらに坂を登っていくと、「美人の湯」と名付けられた温泉施設に到着。
 大崩山は水場の不便なところで、前泊して登る人は、以前はここよりはるか上の渓流沿いの大崩山荘まで登って泊っていたけど、今はこの温泉施設ができたので、ここで車中泊するのが主流になっているようだ。

【登山口への道】
Hoto_spring2

【大崩山登山口】
Mountain_entrance

 大崩山登山口はまだまだ上にあるので、自転車を漕いで登っていく。山のなかの道なので、日暮れ近い時間にはそうとうに暗くなっている。登山口に着いたころは、ライトを点灯する必要があった。

【山間の家】
Houses

 山道を抜けると、山なかは、薄暮の風景。
 ぽつんぽつんと立つ民宿や人家に明かりが灯って、風情ある風景となっている。

 山は日暮れも早い。下るうちに本格的に暗くなってしまった。そして当たり前のことながら、暗いと道がよく見えない。ライトつけていても、そんなによくは見えない。そして、こういう山間の道は、崖から石がよく転がってきて落ちているので、それにタイヤの前輪を当てることが多くなり、衝撃がそのたびガツンと自転車に伝わる。そして、数度目の衝撃で、危惧していたパンクが生じてしまった。
 自転車は移動のデバイスとしては抜群のものであるが、パンクしてしまうと、一挙にただの金属とゴムの塊になってしまうんだよなあ。
 とりあえずは、パンクを修理して、移動のデバイスに復活させないといけないのだが、…さて困った。パンクの道具は持ってきてはいるものの、明りがない。今ある明りは自転車のライトしかないのだが、パンク修理にはけっこうなスペースがいるので、それを照らすには光量が足りない。いや慣れている人は、その程度の明かりでも簡単に治せるだろうけど、私は自慢じゃないが、パンク修理は中学生のときにやったきり、30年以上やったことがないので、その程度の明りで修理を遂行する自信などない。
 仕方なく、街灯なり自販機なりの、しっかりした明りのあるところまで自転車を押して歩くことにする。しかし、とんでもないところでパンクしてしまったなあ。祝子ダムを2kmくらい過ぎたところでパンクしたわけだが、ここから10knくらいは人家がなかった記憶がある。下りなので、押して歩くのは楽だけど、真っ暗な道をただただ押していくのはまったく面白くない。
 面白くない、面白くない、と念仏のように唱えながら自転車を押すうち、やはり記憶通り10kmくらい歩いたところで、ようやく灯りが見えてきた。山の中の灯りにふさわしく、いまどき珍しい白熱灯であった。
 山の中で突然に電灯を見つけたときの感銘を、梶井基次郎は名短編「闇の絵巻」で「バーンとシンバルを鳴らしたような」と表現しているが、私にはそのような詩的興奮は湧かず、やれやれようやく到着かよ、と極めて即物的感想をもったのみ。

 クロスバイクのパンク修理は、本を読めば(1)タイヤを外す (2)チューブをタイヤから引き出す (3)予備のチューブをタイヤに押し込む (4)チューブに空気を入れる の4段階で行う。さらに、自転車、タイヤの性状により、修理のパターンは変わってくることがあるので、自転車を購入したときは一回は練習をしなければならないとも書いていて、それはもっともだと思った。思いはしたが、本で読むと修理は簡単そうだったので、ぶっつけ本番でもよかろうと思い、パンク修理セットと交換用チューブを通販で買っただけで満足し、そのままにしていた。

【修理1】
Bike1

 さて修理だ。まずは電灯の明かりのもと、自転車からタイヤを外し、チューブを抜きだす。そして予備チューブを入れて、タイヤをセット。うん、やっぱり簡単だな。あとは空気を入れるのみ。

 …しかし、ここでトラブル発生。予備チューブは、バルブの長さが短く、空気入れのアダプターがうまくセットできない。

【左が予備チューブ 右が元のチューブ】
Valve_3

 これは困った。タイヤにチューブがうまくセットできても、空気が入らなければただのゴムである。ただのゴムでは自転車は走らない。それでは、ここからまた家まで15km歩くことになる。それは勘弁してほしい。
 バルブの長さを変えるために、根性でバルブを引き上げ、ナットできつく固定すると、なんとかアダプターの底にバルブの先が届き、空気が入っていった。

【自転車と電灯】
Bike2

 前輪を装着して、やっと修理完了。30分の悪戦苦闘であった。
 ちなみにここは人家の前であって、いきなり家の前の電灯に止まり、ガチャガチャ作業を始めた男に気付いたら、挙動不審者と怪しむのではと思い、一言挨拶しようかとも考えたが、でも見たなら、自転車を修理中だというのは一目瞭然だろうから、気にせずに修理を続けることにした。
 修理を終え、自転車に乗って、道を進んでいく。乗って漕ぐことのできる自転車の、なんと素晴らしきことか。

 今回の教訓
(1) 夜にサイクリングをすることが予想されるときは、アクシデントに備えて、ヘッドランプを携帯しよう。
(2) パンク修理は、やはり予備練習が必要です。

 帰宅して、空気入りの不十分な前輪に、足踏み式の空気入れを使い、規定の6.5気圧まで空気を入れておいた。すると10分ほどしてバーンという爆発音が。なんと、空気圧に耐えられずにバーストしてしまっていた。後ろのタイヤも同様に調整しておいたが、なにも起きていないのにいい。
 通販のチューブ、ぜんぜん駄目じゃん。

 おまけの教訓
(3)自転車チューブは純正品を買いましょう。

本日の走行距離:72km (うち歩行距離約10km)

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April 24, 2009

光洋へコハダを食いに行く

 延岡にも寿司屋はたくさんあり、漁港あるいは海が近いことからか、素材はなかなかのレベルのものが出る。これには少し驚いた。
 ただし、〆ものが弱い。光ものは鯖はたいていの店で置いており、「新茶屋」の鯖なんてかなり良いものを使っており、〆方も上手であって、食べて満足はしたが…どの店にも肝心のコハダが置いていないんだよなあ。九州全体ではコハダを出す店が少ないとはいえ、探せば一軒くらいはみつかりそうなものだが、いまだ見つからず。たぶん一軒もないような予感がしてきたわい。
 コハダ。コハダはまさに鮨にするために存在しているような魚である。うまく〆られたコハダは旨さの塊であって、噛みしめるたびにコハダの旨さとそれに酢と塩の旨さが染み出てきて、シャリとともに口になかに広がっていく。この食感こそ、「鮨」の醍醐味そのものと言えるわけで、鮨を食う喜びはコハダを食う喜びと言っても言い過ぎではない。(このフレーズ、赤身と穴子にも使えるな)
 そのコハダを2週間ほど食べていないと、どうも胃袋の調子が悪い。今まで住んでいたところは、幸い近くにコハダを置いている店が一軒くらいはあったから、そういう状況には陥ったことはなかったが、今回は初のピンチ。(それにしても山中の盆地で、魚を食う文化が発達しているわけでもない都城で、通年コハダを置いている「ささぐり」って偉かったなあ、と今にして思う)

 ということで、JRに乗って宮崎市へ光洋にコハダを食いに行く。
 店に着くなり、ビールと、それにいきなりコハダを頼む。久しぶりのコハダ(といっても2週間ぶり)は、たいそう美味でございました。それに近頃飢えていた光りものを頼む。大分産のイワシは良質な脂が乗っていて、さわやかにとろけていく食感がたまらない。これは大当たりだ。鯵も新鮮で歯ごたえ良好。ここで人心地がついたところで、またコハダに戻り、むさぼり食おうと思っていたが、本日は、いいコハダがあまり入っていなく量がないとのこと。ここはじっと我慢して、白身、シャコ、マグロヅケ、赤貝など定番のネタをいただき、腹がふくれたところで残り少ないコハダを一貫頼む。それから絶品であったイワシもおかわり。
 やはり、ここの鮨は満足度が高いなあ。


 金曜日の夜は常連客が多く、隣の方は、「宮崎で美味いものを食いたいので、宮崎で若手が育ってほしい」と力説。そのために、若手同士で連絡しあい、刺激を受けてほしいと店主に述べる。
 最近九州では関西で修業した人たちが、九州で店を開いていることが増えてきているけど、宮崎でも同様の傾向があり、本格的な京都料理を出す店もある。そして由布院なんかが典型だが、いろんな分野の料理人が協力しあって、自分の料理の幅を広げ、高めていき、その結果その地の料理のレベルが上がるという地がある。
 宮崎市も、そのような連携が取れれば、技術に加え、食材調達のレベルも上がるだろうし、全体の食のレベルが上がるわけであり、これはいいことを言うなあと思いました。若い料理人が多い今は、宮崎市の食のチャンスでありましょう。博多、札幌なみの食の地を目指せとまでは言わないが、いつまでもマンゴー、地鶏のみ有名ではさびしいものがあります

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April 19, 2009

今山大師祭り

 4月の第3週は、当地で大師祭りというものがあり、これはかなり盛大な祭りだそうだ。宗教界の最大のスターである弘法大師を祭る日だそうで、大師がこの地を訪れた歴史でもあるのかと思ったけど、べつにそういうことはなく、江戸時代に疾病が流行ったときに、息災延命の祈願のために、高野山より弘法大師の像を貰い請け、それから大師を祭るようになったそうだ。

 延岡駅近くの小高い丘である今山の山頂近くに、大師像は建てられており、17メートルという高さがあることから、どこからでもよく見える。なんとはなしに、広範な御利益を与えてくれそうな像であります。

 祭りはパレードが名物であるということから、行ってみた。

【東国原知事】
Governer

 自衛隊のブラスバンドが先頭を行き、その次は、宮崎一の有名人東国原知事がオープンカーに乗って登場。知事になって2年以上たつけど、独特の貫録がついてきました。
 その後、太鼓をたたく人たち、コスプレの人たち、時代劇の仮装の人たち、浴衣で踊る人たち、ただ歩く人たち、などなどのパレードが続く。博多どんたくよりはましなレベルで、見てて退屈はしなかった。
 退屈はしないものの、全部見るほどのものでもなかったので、途中で見物をきりあげ、大元の大師像へと行く。大師像が本尊みたいな地であるけど、今山そのものは神社となっており、鳥居をくぐって石段を登っていき、登りつめたところに大師像がある。

【今山 大師像】
 Taisi

 ここもいっぱい出店が出ており、大勢の人でにぎわっていた。
 紺碧の空を背景に弘法大師の像が錫杖を持ち威厳をもって立っています。その前には、神社ふうの茅葺様の門、横にタイ風の仏塔と、なんかどういう宗教様式の場かよく分からないが、これはこれで霊験あらたかではありそう。

【青葉台】
Aobadai

 延岡は丘の多い地であり、小高い丘がにょきにょきと海沿いの平地にはえている。弘法大師を祭る今山のその一つである。
 今山に登ったので、そのついでに他の丘もいくつか自転車で登ってみることにする。
 まずは西側の青葉台。よく整備された住宅地であり、頂上付近からのながめがよい。
 手前の丘が延岡藩主が城を立てていた城山。その奥の大きな丘が愛宕山。

【城山階段】
Siroyama1

 青葉台を下りて、次は城山へ。
 ここの坂は自転車あるいは車で登るつくりにはなってなく、かなりきつい坂である。根性で頂上を目指すうち、最後のほうは階段が出現。ここを無理して登るとタイヤが痛みそうなので、押して登る。

【城山山頂】
Siroyama2

 山頂には小さな公園と、鐘つき台などがある。たぶん除夜の鐘はここで鳴らしているであろうから、街中によく響きそうだ。
 頂上からの展望は、延岡市が一望でき、その中心に延岡のシンボルマーク、旭化成の煙突が突き立っています。夜景だともっときれいだろうな。

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April 18, 2009

サイクリング 日豊リアスライン(須美江~北浦)

 よく晴れた日ではあるが、気温が高く、初夏なみの陽気。自転車の大敵は暑さであり、山方面に向かうと、坂を登るときに汗を大量にかいて、ばてそうだ。最近寝不足の日が続いており、体力は低下気味。それゆえ、海風を期待して海岸線ぞいに走ることにする。海沿いなので坂もあまりないだろうから、汗をかくことも少なく、海風を浴びての涼しいサイクリングを楽しめるであろう。
 いざ、県北の北浦町を目指して出発。

 しかし楽をしようと思って計画を立てると、痛い目にあうのがいつものパターンなのであり、今回も同じ轍を踏んでしまった。川島橋を超えてここから海に向かうと思いきや、小高い山へ向かって国道388号線は登っていく。これがけっこうな坂で、10%を超えると思われる傾斜の坂がところどころ出現し、そして車の交通量が多いので、楽なライン取りができず、イン側を曲がるときは、かなり力を込めてペダルを踏まないと登っていかない。これはきつい。ようやくにしてたどりついたトンネルが頂点である。

【最初のトンネル】
1

 ここからは下りになって山を抜け、国道388号線をいったん離れ、海に向かって行く。そして、いちばん下ったところでようやく海岸線に到着し、海水浴場に整備された海岸がみえる

【海城海水浴場】
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 ここからは海沿いの道になるわけであり、期待していた「海風を浴びながらの、楽勝コース」になるはずである。しかし、ぜんぜん違った。というより、「日豊リアスライン」という名前をまじめに考えれば、楽勝な海岸コースであるはずがなかったのだ。
 宮崎県北の海岸線は、巨大な山塊である大崩山系の山並みが海になだれ込んでいる地形となっている。それゆえ、この地の海岸は、山の尾根と谷がそのまま、岬と、岬の間の小湾、そして岬と折り返す形となっており、一言でいえば、リアス式海岸なのである。だから起伏が激しく、海岸線に沿う道は、山を超えては湾に降り、また越えていくという重労働が課せられる。これはけっこうなきつさであった。
 宮埼の海岸線は3月に走った日南海岸のような、のっぺりした平坦な道ばかりと思っていたけど、県南と県北ではずいぶんと違います。
 とはいえ、さすがに起伏があり変化に富んだ海岸線のほうが、風景は楽しめる。苦労の甲斐ある、美しい海岸線を眺めながらの自転車行である。

【海岸線からの眺望】
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 県北の海は、透明度が高く、エメラルド・グリーンの色を通して底まで見える。南国の海ですな。ちょっと意外であった。

【須美江湾】
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 リアスラインのなかで一番の景観地らしい須美江湾。この湾も同様に南国の海の色。沖縄とまではいかないど、南国のリゾートの雰囲気があります。海水浴場があることもあり、夏は人でにぎわいそうだ。

【道の駅 北浦】
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 とりあえずは本日の目標値の道の駅北浦に到着。
 塩の製造場があったり、ビーチがあったり、鯉のぼりの泳ぐ公園があったりと、遊び場所の豊富なドライブインであった。ここも夏は、家族連れでにぎわいそう。というより、今日でも家族連れが多かった。

【イルカのトンネル】
Iruka_tunnnel

 道の駅北浦を超えたころから、だんだんと海岸線とは離れていく。ハイトンネルと妙な名が付けられたトンネルの手前には、「シートベルトをしてイルカ」とオヤジギャクな看板がある。ギャグはいいけど、ここの海ってイルカがいるのだろうか? 日向灘は、あんまりイルカの入ってきそうにない海域に思えるが。
 いくつかのトンネルを過ぎ、海岸線から完全に離れても、道の名前は「日豊リアスライン」であり、山のなかにはいったころは川沿いの道になる。山のなかのほうが、海岸沿いのときよりもはるかに道は平坦であり、楽なサイクリングとなる。

【国道10号線】
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 国道10号線に入ってからは車の量も多くなり、あんまり楽しくないサイクリングとなる。ここからはとくに見るべきところもなく、帰宅。

本日の走行距離 81.2km

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April 06, 2009

読書:テンペスト 池上永一 著

 昨年出版され、世評高くずいぶんと売れている本とのことである。幕末期の琉球の歴史が書かれているとのことで、幕末史好きなことから読んでみることにした。

 冒頭は、琉球国の空を龍の群れが暴れまくって嵐を呼び、その嵐のなか琉球の運命を託されることになる、神の子が生まれるというシーン。ファンタジーかと思いきや、それに続く、琉球の中国流の官吏登用試験についてはずいぶんと詳細に現実的に述べられ、どうにもしっくりこない。主人公は、13歳にて儒教の教科書すべてを暗記し、さらには漢語・英語・ドイツ語・日本語も完璧に語ることができる超秀才であり、官吏登用試験に容易に受かる力を持つが、あいにく女性だったのであり、男尊女卑の世の中では試験を受けることができない。そのため宦官ということで性をごまかして、めでたく試験に合格し、官吏になる。彼女は極めて有能であるため、王の覚えもめでたく、出世を続けることになるが、あるとき大蛇に化けて大奥を襲う、清国の化け物大使と対決することになり、彼を殺したことから、殺人の罪で島流しとなる。宦官と称するも、成長した彼女はじつは絶世の美女であり、島で踊りを踊ったことから、その美貌と芸により、琉球に宦官とは別人として戻ることになる。彼女はそこで王の側室を選ぶ試験を受けるはめになり、受かってしまい側室になる… とかいう話。

 琉球王国の衰亡・滅亡を背景に、あまり魅力的でない女主人公の波乱万丈の人生が語られるわけであるが、なんというか、浅田次郎と小野不由美と菊池秀行を、それぞれ出来を悪くして、足して3で割ったような作風だなあ。
 上巻を読んだところで、読み返すこともないだろうから、下巻は立ち読みで済ませてもいいかと思ったが、二段組み427頁の本を立ち読みする気力はなく、結局買って読んでみた。
 下巻が気にはなるのだから、面白くないということはなく、どころか上下巻800頁を超える長編を飽きさせずに読ませるのだから、たいした筆力の持ち主だと思う。ところどころ(大奥の権力闘争とか)、文章があまりに幼稚なところがあり、そういうところは改善の余地はあると思うが、将来的にはもっと密度の高い、立派な長編を期待できるのでは、と思いました。

……………………………………………
テンペスト 池上永一 著

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April 05, 2009

四月のサーラカリーナ

 福岡市に来たからには、サーラカリーナには是非寄りたい。電話をすると運よく席があいていたので、日曜日にランチを楽しむことにする。
 今までのサーラカリーナの記事は、夜のものばかりだったので、サーラカリーナ福岡店の外観を載せていなかったけど、今回は昼の訪問なので、都市デザイン賞をとったこともある店の写真を載せてみることにする。

【サーラカリーナ福岡店】
Sara_carina

 福岡のお金もちの人たちが住む、薬院浄水通り。センスのよい瀟洒な家が立ち並ぶなか、白漆喰で塗られた、背の高い倉のような建物がある。ユトリロの絵に出てきそうな、シンプルでありながら、目をひきつける、よいデザインの店です。

【サーラカリーナ 庭】
Garden

 店の中がどうなっているかというと、このように窪んだ、芝生と園芸植物いっぱいの庭があり、草々が日の光をたっぷと浴びて、緑の色の反射をやわらかく店内にとどけている。

 ランチは、アラカルトで、前菜盛り合わせ(アンティパスト)、パスタ1、パスタ2、パスタ3、魚メインは手長エビ、パスタ4、ドルチェと、相変わらずのパスタづくし。メインも美味しいのだけど、サーラカリーナのパスタは超一流品なので、どうしてもこちらを主に選んでしまう。
 そのパスタを。

【ホタルイカと野菜のパスタ】
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 ホタルイカの味の強さを前面に出しており、旬の訪れ、春の訪れをまず感じさせてくれる。最初から個性強いパスタにて歓待です。

【トマトのパスタ】
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 これは先のとはがらりと異なり、優しい味のパスタ。甘く酸っぱい、良質なトマトを用いており、軽やかで、柔らかい味が、このパスタ全体を上品なものに整えている。

【白アスパラとベーコンのパスタ】
1

 パスタはセージを練りこんだ手打ちの平麺。もっちりとした食感が心地よい。
そしてこのパスタは立ち上る白アスパラの香りが素晴らしい。立ち上る香りは、速度が勝負であるとばかり、出来上がったパスタを今井シェフが厨房から風のように駆けてきて、テーブルに置き、「いつもありがとうございます」と挨拶したのち、風のように去ってしまった。
 ほんとうは写真など撮る時間も惜しんで、すぐに食べないといけないのだろうけど、しっかり写真を撮りました。
そして、食べれば、「う~ん、絶品」

【ペペロンチーネ風のパスタ】
2

 締めのパスタは、麺の味がしっかりと出るようなものをと、ペペロンチーネ風のものを頼む。しかし、締めは華やかなものにしたいという意思があったのか、サヤ豆、ベーコン、薄切りチーズをあわせ、それに彩りと香りつけにローズマリーの花を撒いた、ずいぶんと華麗なパスタが出てきた。
 食べてみると、麺の味つけはたしかにペペロンチーネ、これに種々の食材がからみあい、見た目とおりの華やかなものとなっていた。


 サーラカリーナの料理は、食べていて、とても幸福感を感じることができる。
 生きるということは、すなわち美味しいものを食べることであり、生きる価値は、美味しいものを食べることにあり、などということを、ついまじめに考えてしまう。
 今井シェフの料理は、考えに考え、練りに練り上げられた、極度に緊張感を持つ料理なのであるけど、その緊張感をもって達成された料理は、食べる者には、やさしさと、あたたかさを表現し、そして頬が思わずにんまりとゆるんでしまうような幸せ感を与えてくれる。まさに名人の業。
 つぎは、初夏、さらに庭の緑が濃くなる時期に来てみようかな。

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April 04, 2009

寿司: 夢膳@福岡市博多駅南

 福岡で手に入る最良の素材を、金に糸目もつけずに集め、旬の最高のネタを、鮨に肴に供する店「夢膳」。銀座の「さわ田」の福岡版と言えばわかりやすいか。(でも、開店はたぶん夢膳の方が早いはずなので、「さわ田」が夢膳の東京版というほうが正確かも)

 まずは、お造りから。
Tsukuri

 以前は大皿にまとめて出されてきて、それは大皿をキャンパスにみたてた絵のようで美しかったのだが、いつの間にか趣向が変わったようで、一品ずつであった。鯛、カンパチ、アジ、カラスミなど。いずれも美味い。ただただ、美味い。

【ノドグロ】
Nodoguro

 焼物は、ノドグロ。これも美味い、ただただ美味い。
 …と同じようなことを書いていても面白くないのだが、じっさい食べてみると素材のすごさに圧倒される料理なんです。このノドグロの脂ののり方はすごいとしか言いようがなく、そして脂のよくのったノドグロが焼かれると、その脂で自らを温め旨くするという、「自分で自分を高める」という、ノドグロを誉めるしかない料理と化す。冬の時期、夢膳で食すノドグロは福岡の誇る名物と断言してよい。福岡で獲れたノドグロじゃないんだろうけど。
 今年の1月に宮崎の光洋で出てきたノドグロも立派なものであったが、記憶にある夢膳のノドグロに比べると一ランク下のものであったので、そのむね言うと(イヤな客なんです。私は)、夢膳さんとは比べないでくださいとのことであった。ま、そうでしょうな。

【茶碗蒸し】
Sirako

【吸い物】
Suimono

 椀物は、鯛の白子の茶碗蒸しと、白身の吸い物。
 夢膳の椀物は、出汁にものすごい特徴がある。私は椀物の出汁は、上方風の素材の旨さがくっきりと立ち上がってくる薄味のものが好きだけど、夢膳の出汁は、それと全く異なるものである。良質の昆布・鰹を濃厚に使って、それだけで独立するような力強い出汁であり、私はこの手のものは苦手なはずだが、夢膳レベルの濃くても美味い出汁なら、これはこれで文句のいいようのない独自の出汁だと思う。そして具材も、その出汁に負けぬ力強い味のものが使われ、椀物全体としてのバランスもよくとれている。

 造り、焼き物、椀物と進んで、次からは鮨となる。
 ずらりと写真で紹介。
【白身1】
1

【白身2】
2

【赤身ヅケ】
3

【赤貝】
8


【コハダ】
4_2


【ウニ】
5_2

【穴子】
6


 シャリは古式の手法でつくられた赤酢を用いている。この酢は通常の赤酢と比べ、酸味よりも旨みがよりまさったもので、シャリの味が豊かとなる。それに塩がよく利いており、シャリだけで極上の酒の肴となるような逸品である。
 マグロもいつも良質なものを使っている。これを江戸前風にヅケており、シャリとあわせて江戸前の鮨となっている。コハダや穴子も江戸前の調理法であり、江戸前鮨です。しかし白身や赤貝はアサツキやゴマ、柑桔などを用いて、足し算のやりかたで美味さを高めていく博多風の鮨。

 夢膳の鮨は不思議な鮨である。ネタもシャリも極上に近いものを用いており、食べていてどちらの美味さも口のなかに広がるのだけど、それが一体となって、一点に着地していくようなことはなく、落としどころがないまま美味さが拡散していって、なにか最後には印象が淡くなってしまう、そういう浮遊感を感じる鮨に私には感じられる。シャリもネタも年月ごとに変ってきているのだけど、この浮遊感だけはずっと変らないので、たぶんこれが店主の鮨のスタイルなんだろうな。もちろん、こういうタイプの鮨も私は好きである。

 店主は北九州市黒崎のプリンスホテルで長いこと寿司部門の料理長を勤めていて、その後博多に店を開いた。夢膳の名前が示すように、夢のように豪華なご馳走が次々と供される、和食・寿司の名店。造り、焼物、椀物、鮨、フルコース全部食べるとかなり値の張る店ですが、その値段を出す価値のある店です。

 私が料理の写真を撮っていると、店主が「自分も撮ってくれ」というので一枚撮りました。
 店と店主の写真であります。雑誌「家庭画報」が取材に来たとのことで、家庭画報ではもっといい写真写りで載っていることでありましょう。

Yumezen

……………………………………………………
夢膳 福岡市博多区博多駅南4-12-33 TEL. 092-431-3301

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映画:ウォッチメン

 予告編ではアメリカン・ヒーローの連続殺人事件と語られていたので、原作を知らないことから、ヒーローに自分勝手な怨恨を持つ男の復讐劇である「ジ・インクレディブルズ」みたいな映画を予想していたが、本編をみると全然連続殺人事件などではなく、滅亡の危機に陥った世界で悪戦苦闘するヒーロー達の内輪もめの物語であった。(妙な予告編をつくるんじゃねえよ)

 この映画は、とてもいいです。
 特に50~60歳代の人には、リアルタイムで見た歴史が、この映画の解釈で再現される映像で観ることができるわけで、心に響くものがあると思う。
 最初のオープニング、watchmen openingで検索すれば、簡単に動画が見られるけど、これは傑作。「フォレスト・ガンプ」を5分間に縮めたような濃度で、アメリカの歴史を物語っている。二次大戦、キューバ危機、ベトナム戦争、アポロ計画、東欧動乱、ケネディ暗殺、ニクソンの選挙等の、アメリカが世界に関わり、あるいは関らなかった、アメリカの運命を決定づけるような事件が次々に写され、そしてそこに関与したエージェント「ウォッチメン」が出場した裏歴史も描出される。

 初代ウォッチメンは市民の嫌悪に負け自滅したのだが、ヒーローグループ次世代のウォッチメンも結局は、「自分たちより優れている存在は許せない」「超法規的存在は許せない」との市民の反発で、地に潜ることになる。しかしながら「一般市民より優れている存在」「超法規的存在」は、世界の秩序のためには必要なわけで、とりあえずアメリカは、ウォッチメンの一人コメディアンを雇い、ゴルゴ13みたいな仕事をさせる。彼は当たり前のことながら有能で、様々な外交的・政治的問題を解決する。(でも、ケネディを暗殺しちゃいかんだろ)。彼はそういう非合法な仕事に生きがいを感じ、仕事を遂行していったのだが、ある時旧ウォッチメンのメンバーが、非合法どころではないとんでもないことをやろうとしていることを知り、苦悩する。悩んでいるところに、秘密がばれそうなことを知り、口封じのために、その旧ウォッチメンが現れ、コメディアンをボコボコにするのが予告編のシーンだ。
 このシーン、コメディアンは必死の抵抗にもかかわらず、敵にダメージも与えられずに窓の外に放り投げられので、あまりに弱くみえるのだが、そうではない。コメディアンはとても強く、彼に勝てるのは世界で2人しかいないので、旧ウォッチメン(ネタバレすればヴェイト、というかネタバレじゃないよな)が、手下にまかせずに本人が直接現れたのだ。

 冒頭部の説明が長くなりすぎたので、あとは簡潔に。

 この映画は、あの暗く陰鬱な世界がいつ滅びてもいいような冷戦の時代(30年くらい前はほんとにそういう時代だったんだったのである。核の時計って、映画の話でなく、実際にあったんだから)に、それをなんとか解決しようとした、架空でありながら、リアル感ある、アメリカン・ヒーローの物語である。

 そのヒーローの紹介。

 (1) Dr.マンハッタン:核実験により、本物の超人になったヒーロー。時間・空間を超越した存在で、神に最も近い。ただし、まだ人間の心があり、現世、人間に執着するところがある。それを解決すれば、ほんとの神になれる。ただしほんものの神になってしまったら、人間に対する関心もなくなり、それこそ結局は空気みたいな存在になってしまう。それが神といえば神なんだろうけど。本人もその危惧を語っていた。
 (2) ヴェイト:才能あふれる人間が必死で努力することにより、最も神に近づくことができた、そういうヒーロー。現世では最高・最強の人間。彼は人類の破滅を防ぐために、ものすごい責任を背負って最善と思われる行動をする。それゆえ神マンハッタンに殺されそうになっても、信念は曲げない。その行為の後は、ただ一人南極に残り孤独な生活を送ることになる。能力ある人間は、それだけで多くの他人に対して責任を持つ存在になってしまう。ある意味、能天気なマンハッタンより、我々の概念からは神に近い存在といえる。

 あとは適当に

 (3) ロールシャッハ:非合法なヒーロー。彼もヒーローの責任感から、人間の悪をあばきだすのだが、非合法な手段によらず警官とかになったらよかったのでは? すごい数の犯罪者を刑務所に送ってるんだし。
 (4) コメディアン:歴史の裏の暗躍者。ケネディを暗殺し、ニクソン危機を助ける。共和党のシンパなのかな。映画の冒頭、襲ってきたヴェイトに抵抗するも、ボコボコにされて窓に放り投げられ、なんて弱いやつと思ったが、終末、ヴェイトと戦ったウォッチメンのダン+ロールシャット2人組が対抗もできずにボコボコにされる姿を見て、コメディアンじつは強かった、と思いなおしました。
 (5) ダン+ローリー
 ヒーローであり、当然強い。街のチンピラなど、相手にならない。(でも殺していいのか?)身体的能力は高いけれど、それを世のため人のためには使おうと思ってなく、自分たちのストレス発散に用いてる。ある意味、こういう気楽なヒーローが、現実的なヒーローとしての理想像なのかあ。上のヒーローがみな悲劇的であったのに、自分の力を自分の楽しみのために使っているヒーローがいちばん幸せそうにみえる。

 アメリカン ヒーローの物語は、アメリカ映画の一大分野になっており、多大な予算をかけるのが可能で、いい映画が多い。ウォッチメンも良作と思う。とくにウォッチメンでは、いままでの映画で現れた様々なヒーローの集大成劇となっており、いろんな有名なヒーローを投影した人物がそれぞれの個性を発揮した活躍をし、「ヒーローとともに歩んだ世界史(orアメリカ史)」という架空の世界史を説得力ある形で映像にしている。先にも書いたけど、冷戦を知っている世代には、ぜひとも見てほしい映画です。

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ウォッチメン 公式サイト

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April 03, 2009

八ちゃんラーメン@福岡市薬院

 週末は出張にて博多へ。
 夜遅くに着いたので、博多ではまっとうな寿司屋などは開いているわけもなく、(東京は夜遅くまでやってるまっとうな寿司屋がけっこうあって、助かるんだけど)、それではラーメンでも食ってみることにする。寿司とラーメンでは違いが大きいような気もするが、いいんです。10時過ぎると、なぜか寿司かラーメンしか食う気がしなくなるだよなあ。こういう人って、けっこういるのでは。そうでないと深夜営業のラーメン屋と寿司屋の数の多さが説明できない。

 博多といえば豚骨ラーメンということになり、一風堂や一蘭が有名だけど、これらは全国にチェーン店を展開する店でもあり、せっかく博多に来たからには、博多でしか食べられない豚骨ラーメンを食いたい。博多でしか食べられない豚骨ラーメンで一番有名な店といえば、「元祖長浜ラーメン」ということになるだろうけど、あれは、私ごときの普通の人間は、一回食えばもう十分に堪能できます。
 そういうわけで、薬院の「八ちゃんラーメン」を選択枝として第一にあげる。あの濃厚ラーメンは、他にはない独自性をもち、そして不味くはないから。それでホテルに荷物を置いたのち、薬院へ行く。以前は八ちゃんラーメン前には、お化け屋敷の提灯妖怪のような、ボロボロな提灯が置かれていたのであるが、いつしか代替わりしたようで、あれよりましな提灯が置かれていた。たぶん以前のものは、長年の風雨に負け、骨だらけになってしまい、引退したんでしょう。

 八ちゃんラーメンは人気店であり、行列は覚悟していたが、運よく訪れたときはあいていてあっさりと入ることができた。でも、そのあとは店外で行列ができていたが。

【八ちゃんラーメン】
Hattyann


 八ちゃんラーメンの特徴は、なによりも、この濃厚なスープにある。スープそのものが油で満たされており、極端なことを言えば、サラダオイルに豚骨味をつけたかのごとき油まみれの、とろとろした、こってり味のスープが、ラーメンの主人公だ。麺は、スープを吸い上げる脇役に徹しており、固めに注文しても、柔らかめのソーメンのごとき麺が供され、それが油たっぷりのスープとからみあって、柔らかでかつぬるぬるした食感で咽をくぐっていく。この食感の楽しみが、じつは八ちゃんラーメンの醍醐味であろう。
 濃ゆい。濃ゆい世界のラーメンなのである。
 これが美味いかといえば、諸手をあげて賛成というわけにはいかないが、独自・独特の領域に達したラーメンであることは間違いない。好き嫌いは別にして、博多薬院に来たときには、一度は訪れていいラーメン屋だと思う。夜遅くしかやっていないので、簡単には訪れられないけど。

 とか思いながら、ラーメンを食す。ラーメン食ったのち、さてスープをどうするか。
 昔は、底に残った濃厚な豚骨の出しガラが見えるまで、スープを飲み干していたのだが、今となってはとても無理だ。
 中年族にはきついラーメンといえる。じっさい、店内には若者が多かったし、胃袋に元気のある世代に向いているラーメンとはいえる。もっとも、果敢にスープ全部平らげる中年族もいることはいたので、個人の努力(何の?)があれば、麺・スープ全てを楽しめることは可能です。

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八ちゃんラーメン 福岡市中央区白金1丁目1−27 TEL 092-521-1834

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