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March 16, 2009

コミック: PLUTO7 浦沢直樹 著

Epsilon_2


 アメリカらしき国が、自国にロボット産生の技術が発達していないため、これ以上のロボットの技術の発展を阻害しようとする。そのため、超高性能ロボットが大量破壊兵器になりうると言いがかりをつけて、今まで造られた7体の超高性能ロボットのみを残し、新たな高性能ロボットの製造が禁止されてしまった。その7体のロボットが、姿の見えない敵により、次々に破壊されていくというのが今までの筋。最後に残ったのは、オーストラリアの光子エネルギーロボット、エプシロンであった。そのエプシロンを主役にすえたのが、PULUTO第7巻である。

 大量破壊兵器になりうるとされた7体のロボット、じつは、そのほとんどが戦闘については白兵戦用のものばかりであって、強くはあっても、量はこなせないと思う。しかしエプシロンのみは、名実ともに「大量破壊ロボット」といえる存在であり、町ひとつを、一瞬にして消し飛ばす能力を持っている。当然、戦闘力に関しても最強のロボットであり、襲ってきた刺客ロボットPLUTOに対しても最初の戦闘では、鎧袖一触にして退ける。エプシロンは、警備担当のロボットが感嘆して言うように、「強い…」のである。
 エプシロンが戦闘を続行すればPLUTOは破壊されて、それでこのロボット連続破壊事件は一件落着になるはずであったが、エプシロンは敵にダメージを与え、退散したことのみに満足し、深追いすることはしない。エプシロンにとって、闘いは勝つためのものでなかったからだ。

 PLUTOを逃がしたことを責められたエプシロンが、「PLUTOは何度戦っても私の敵ではない」と宣言するように、エプシロンは作中で無敵の存在である。しかし無敵だからといって、現れる敵をいちいち倒す必要はない。エプシロンは、強かったので、自分の強さを誰よりも自覚していたし、誰よりもその恐ろしさを知っていた。

 戦闘能力があるからといって、それを利用してバトルに勝って喜ぶような能力は、ほんとはたいした能力ではない。ちょっとした感情の高ぶりで、町が都市がぶっ壊れるような能力こそ、真に畏るべき戦闘能力であり、エプシロンは自分にその能力があることを知っていた。そして、エプシロンはロボットが人間に近づくことにより、本物の憎悪・絶望がロボットの心に生まれ、凄絶な行為を起こしうるということも知っている。
 だからエプシロンは必死に感情を抑制し、闘いも断固として拒否する。自分の感情の暴走で、とんでもない災害が起きるようなことは絶対にしてはならないからだ。エプシロンの非戦主義は、周囲の者が揶揄するような「平和主義」などというような、生易しいものではないのだ。


 エプシロンは敵の策略によりさらわれた戦災孤児を救出に行き、またPLUTOと戦うことになる。PLUTOは呪われたロボットである自分を殺してくれと嘆願する。エプシロンの力では、それは容易なことであった。しかしエプシロンは敢然とそれを拒否し、他者の憎しみにまたも制御されたPLUTOに破壊されてしまう。
 エプシロンの悲しみの感情は、空間を越えて、眠れるアトムに届き、アトムが目覚めるところで7巻終了。

 最強の力を持ち、崇高な精神を持つ孤高のロボット、エプシロンの物語。
 原作のときもエプシロンは強く気高かったが、浦沢版リメイクでもエプシロンの魅力は健在であった。

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PLUTO7 浦沢直樹 著

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