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February 15, 2009

読書:幕末史 半藤一利 著

 日本の歴史のなかでは、幕末が、個性豊かな人物が輩出し、資料も多く残っていることから、読んでいて最も面白く感じる。
 近頃出版された半藤一利氏の「幕末史」が評判がよいので、読んでみた。

 冒頭、著者は自らを反薩長史観の持ち主として、明治維新を偉大な改革などはなく、薩長一派の暴力革命と決め付ける。また西郷隆盛は毛沢東のような人物であり、坂本竜馬には独創的なものはない、と論じる。
 ふ~ん。
 明治維新は必要でもない無駄な血を大量に流した暴力革命であり、西郷隆盛は日本史上まれにみるマキャベリストであり、坂本竜馬の行動は師匠の勝海舟の考えに基づくもの、というのは、幕末史の研究が進んだ現代では、ごく常識的な意見となっているのではないだろうか?

 冒頭部読んだだけで、続きを読む気が失せたが、せっかく買ったので読み進める。
 全体的に漫談調の語りで書かれており、分かりやすく、読みやすい。幕末史の概要を知るには、いい入門書のような気がします。
 ただし戊辰戦争について章で、東北諸藩が薩長主体の新政府に対し、「成りあがりどもに対して、懲らしめてやる」との意思から国内戦争を決意したと書いているけど、をいをい、それはないでしょう。

 戊辰戦争(東北戦争)の開戦の流れは普通は以下のようになっている。
 京都で守護職をやって治安を守っていた松平容保が、新政府より「朝敵」に指定される。どう考えても100%朝敵であるはずはない容保が、朝敵との罪で首を切られるのは理不尽である。同情した仙台藩を盟主とする東北諸藩が容保公の助命を行うが、新政府は聞き入れない。それどころか、新政府の東北を管轄する総督府の長、世良修蔵とその一派は仙台で乱暴狼藉のかぎりを尽くし、それに切れた仙台藩が世良を処刑する。総督府のトップを殺したからにはもう引き下がれない。東北諸藩は奥羽列藩同盟を築き、新政府への戦争に踏み切る。
 要するに戦争などする気もなかった東北諸藩が、新政府の理不尽な要求と、総督府トップ以下の無礼な振る舞いによって、切れてしまい、望んでもいない戦争に巻き込まれてしまったというのが戊辰戦争でしょうに。

 このときの東北の恨みは強いものがあった。福島白石には世良修蔵の墓があり、その墓には「賊軍により命を失ってしまった云々」の文字が刻まれていたのだが、その土地の人によって賊軍の文字は削り取られている。地元の気持ちもよく分かるので、そこはいまだ修復されていない。
 歴史好きの私は、わざわざ現地まで行って、世良修蔵の墓を見てきた。たしかにその文字を削り取られた墓碑は、当地の人の無念と恨みを、しっかりと感じさせるものであった。

 話はもとに戻るが、「幕末史」は多くの個性豊かな人物が活躍し、それゆえ複雑でごちゃごちゃしている幕末史を、うまく読みやすくまとめている書であり、これから幕末史を知りたいと思う人に、勧められる本である。

 ついでながら、幕末史について今面白いのは、週間新潮で連載している野口武彦の「幕末バトルロワイヤル」です。幕末に活躍する中心人物から少し外れた人たちが多く登場し、その右往左往するさまを、観察力鋭く書いており、面白いし、教えられることが多いです。

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幕末史 半藤一利 新潮社

世良修蔵についての参考web

世良修蔵暗殺事件の周辺
世良修蔵

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