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February 10, 2009

映画: 007/慰めの報酬

 冒頭いきなりの激しいカーチェイス、いったいどういう理由で行われているのか分からぬまま、アルファロメオの攻撃を受けたボンドカー・アストンマーチンがぼろぼろになりつつ敵を撃退、命からがらボンドが基地に到着。トランク開けたところ、Mr.ホワイトが縛られて入っており、前回からの続きであることが分かり、カーバトルの意味がようやく判明。Mr.ホワイトの足を撃って身動きできなくしたのち、尋問のためアジトに連れて来る途中で、敵襲にあったわけですね。
 しかし、そんなの最初から分かるわけなし。少々不親切な映画である。

 Mr.ホワイトは圧倒的な力を持つ所属組織の庇護によりあっさり脱走。その手下を追いかけ、ボンドはイタリアの観光地シエナで大活劇を演じる。文化遺産を破壊しながらの追いかけっこって、このシリーズの約束事になっているのかな?

 舞台は、ハイチ,オーストリア,ボリビア,ギリシャ,ロンドン等々、めまぐるしく変化し、各国の観光案内をしている。それぞれ、その国の良さと悪さが、よく描出されています、はい。

 ボンドは前作で、スパイを辞めても得る価値のある、一生一緒に暮らせる恋人に出会えたつもりだったのだが、その恋人の裏切りにあい、なぜ自分がそういう羽目に陥ったとの私憤と、それと、おおげさに言えば「世界を救う」公務の遂行と、そのどちらに対しても凄い精神のエネルギーを発散させて、全編で(半ばやけくそ気味に)活躍する。
 あまりに活躍ぶりに、雇い元のMI6および英国政府が怖気をふるい、ボンドの行動を制約してしまう。その制限のなかで、どれだけ非情に、ボンドが腕をふるうかが、後半の見所。私のような一般人は、「いくら任務のためといえ、お前の恩人・関係者をむやみに犠牲にするなよ」と言いたくなるが、ボンドは諜報員のプロだから、任務の遂行に関しては、なんら妥協がないのである。

 このシリーズは、英国最強のスパイ、ジェームズ・ボンドの誕生劇をつらつらと語っていくものだそうだが、2作目にして、ボンドは既に最強に近い。あれだけの憤怒(恋人を殺された)を心にしまいながら、やってることは過激にみえて、きちんと感情を(なんとか)コントロールしながら、任務を最適なレベルで達成している。

 ダニエル・クレイグは、歴代のボンドのなかでも、ショーン・コネリーを越えて、最も適役だと思う。
近年の007シリーズの映画に出てくるボンドは、妙に優男ばかりであったが、スパイは肉体が強くて、女たらしであれば、いいというはずはない。スパイ(≒intelligence agent)は、あらゆる職業中、最も知性的な職業であり、スパイには第一義に知性が要される。
 それに、だいいち原作のジェームズ・ボンドは、なにより知性の人であろう。

 ダニエル・クレイグは、強力な知性を感じさせる俳優であり、それに加えて肉体的な力強さも十分に感じさせくれる俳優だ。
 007シリーズは、しばらくは彼に演じてもらえば、安泰ではないでしょうか。

<見終わっての雑多な感想>
 ・飛行機内のバーでの、ボンドの「眠れない男」の描写が鬼気迫るものがあった。
 「眠れない男」といえば、文学史上では、誰しも「マクベス」を思い浮かべるしかないけど、「悲劇マクベス」は、タイトルロールの「マクベス」の、王位簒奪の野望から、大きな罪を犯し、その罪を背負いながら突っ走る、あの絶望的な疾走感が印象的な劇であるが、比較するに、ボンドも同様に、己の私生活と任務の懊悩と焦燥から、必要以上に突っ走ってしまう。「眠れない男」は、どうしても突っ走ってしまうのだ。(徹夜経験あるものは誰しも同意するだろう)
 そして、ボンドの知性と理性は眠っていないので、(マクベスも同様だったけど)、その行為の流れは正しいのだが、必要以上に性急さがあるので、周囲の誤解を招いてしまう。その、自分の意識と、周囲の認識とのアンバランスが見ものとなっている映画ではある。
・この映画、今までの007の映画へのオマージュが、数多くある。私は5つくらいは確実に指摘できるけど、あといくつか、あやふやなものがあった。マニアな人は、10以上は指摘できると思う。


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007/慰めの報酬

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