正月2日@柊家旅館(京都市)
地下鉄東西線京都市役所前駅の地上への出口からすぐのところに柊家はあるが、宿にとだり着いたときにはもう暗くなっていた。
柊家玄関には注連縄が飾られ、それが古そうな「旅館柊家」の看板と組みあわさっていい味を出している。入る前にこれは写真だと思い、荷物からデジカメを出し撮影。そして、戸を開けるべく手をかけようとすると、いきなり戸が開いた。まさか自動ドア? と一瞬思ったのち、「いらっしゃませ、○○さんですね」との男衆の声。予定より遅れて訪れた私を待ち構えてみたいで、しかも私が写真を撮り終えるまで待って、ちょうといいタイミングで戸を開けてくれたようです。どうも面倒をかけさせてしまいました。
部屋に着き、仲居さんが来られたのち、大女将が挨拶に訪れた。
柊家では、この大女将が現れると、いつも圧倒されてしまう。穏やかでいながら華やか、凛とした品格のなかに感じる優しさ、静かな佇まいななかにしっかりと立つ逞しさ。それらすべてを背景にして、客をもてなす歓待の心がしっかりと伝わってきます。柊家旅館の歴史は京都有数のものだけど、その流れで、ここまでの人間国宝的な女将が育ってのでしょうねえ。
柊家旅館は大女将が旅館の経営に関しても、また精神的なものに関しても大きな支柱となっていると思われます。大女将健在なうちは、柊家旅館は一流の旅館として存在し続けるでしょう。
今日泊まったのは12号室。大女将の話では、柊家のなかでも最も古い歴史のある部屋のうちの一つとのこと。(でも狭い。柊家の部屋を上中下で格分けするなら、中と下の間くらいのランクの部屋だろう)
私は、空いてる部屋のうち値段の高い順に決めるという大雑把な部屋選びをしているゆえ(というか1月2日で空いている部屋はここしか無かったので選択の余地なし)、どういう部屋なのかは、行って初めて知るということをいつものパターンとしている。
部屋をうろちょろして驚いた。
風呂がない。
この値段帯の宿で、風呂がないとは…。でも去年の正月に泊まった「吉田山荘」は部屋に風呂どころかトイレもなかったから、それよりはトイレがあるぶんいいか。しかもこのトイレは戸を開けると便器の蓋が上がるという、100年以上の歴史を持つ部屋にしては近代的仕組み。これにも驚いた。
それはさておき、柊家旅館は各部屋にいい風呂を持っているのに、それに加えやたらに立派な家族風呂を持っていたのを疑問に思っていたけど、ここで疑問氷解。風呂のない部屋があるのですね。ということは、風呂付の部屋で家族風呂を予約するのは、ちょいといかんかったか。特に新館のほうの風呂って、家族風呂より広いから、家族風呂使う意味は乏しいもんな。
というわけで、風呂は家族風呂。ステンドグラスのきれいな名物風呂で、寒さで冷たくなっていた身体をぬくめなおし、食事。
柊家の食事は、華やかさが特徴です。
京都という華のなる地で、華のある料理を食べてくださいというもてなしの心を、存分に感じる料理。味付も芯がしっかりしていて、それから美味さが広がるという、万人に受けやすい分かりやすい料理。この分かりやすさがポイントで、京都の料理はちょいと分かりにくいところがありがちなのに、その分かりにくさを抑え、京都風の味をつくっているところがここの料理の凄さです。
今回も堪能させていただきました。
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