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December 20, 2008

寿司@鮨匠のむら(鹿児島市)

 地元の旬の素材を大事にする店、「鮨匠のむら」。
 極上の素材が次々に現れる、知る人ぞ知る鹿児島の名店である。12月を過ぎて海の温度も下がり、魚の脂も乗ってきたころであり、いつにもましての美味い魚を期待する。

 つまみはまずカワハギの刺身と肝から。
【カワハギ】
1

 河豚よりも絶対に美味いと店主の断言するカワハギは、たしかに旨み十分。カワハギならでの上品で、深みのある味が楽しめる。それに肝をからめて食べるとさらに味の深みが増します。

 ついで、茹タコ、カンパチ刺身、ヒラマサ刺身、シロダイ昆布締め。
【刺身数点 下がカンパチ、上左からヒラマサ、シロダイ、煮ダコ】
2

 定番の茹タコは、ぷりぷりもっちりした食感が見事。鹿児島のタコの実力を示しています。
 刺身はカンパチとヒラマサ。見ても食べても区別などつかない魚と思っていたけれど、食べ比べると、区別は容易についた。歯ごたえが強く、また清新な味のカンパチに比べ、ヒラマサはもっと優しい味であり、柔らかさと豊かさを感じる。どちらも大変に美味。シロダイは昆布締めで。ほんのりした昆布の味がいいアクセントになっている。

 本日はすごいシマアジが入ったとのことで、シマアジの腹身が登場。
【シマアジ】
3

 これはたしかにすごい。並のシマアジとはまったく異なる次元のものである。口に入れると、口いっぱいにまろやかで豊潤な味が広がる。それをかみしめると官能的といってもよい食感を感じる。食べているあいだ、言葉を失ってしまいました。開聞岳沖の定置網に一匹だけかかった大物のシマアジで、買値も相当なものであったが、これほどのものは滅多に手に入らないという逸品だそうである。

 つまみは、サワラの腹身、ホタテ貝柱の刺身と炙り、〆鯖と続く。
 サワラの刺身は九州では滅多に出てくるものではないが、新鮮なサワラが手に入ったとのことで、脂がたっぷりと乗った腹身を刺身で食する。
 ホタテ貝柱はなかなか手に入らぬ10年もの。その直径は通常のものの2倍以上。大きさよりもその食感に驚く。貝のスジのたぐいを微塵も感じさせず、なにかの肝みたいに柔らかく、濃厚な味。炙りにするとさらに香りと旨さが増す。
 鯖は済州島のもの。鯖は済州島のものが一番とのことで、懇意の漁師からいつもこの時期仕入れています。

 他には、真鱈の白子の焼き物と、茶碗蒸し。
【真鱈の白子焼き】
4

 河豚の白子よりも美味いとのことであるが、真鱈の白子は独特のクセがあり、それが好きな人にはたまらないであろう。私は、普通に河豚の白子のほうが好きである。もちろん、この店のものは、そのへんの和食屋で出てくる真鱈の白子とは、まったく別物の美味さである。

 ヨコワのいいものが入ったとのことで、ヨコワシリーズ。ヨコワの腹身、ヨコワのヅケ、ヨコワの兜焼き。

【ヨコワヅケ】
5

ヨコワはマグロと考えると味が弱く思えるが、これをヨコワという独自の魚と考えると、爽やかで軽やかな赤身の味を楽しめる、きわめて美味なる魚だ。

 店主は本日、「今日はうるさい客がやってくるので、ギャフンと言わせるすごい魚はないか」と河岸の魚卸屋にたずね、そこで得たものが、「シマアジ」「10年もののホタテ」「サワラ」だそうだ。たしかにいずれもギャフンどころか、言葉も出なくなる素晴らしいものでした。
 店主いわく、うるさい客をギャフンと言わせるのは料理人の無量の楽しみであり生きがいだそうだ。なかなか素晴らしい、料理人魂だと感心。
 …って、うるさい客とは私のことですかい? 

 そうとうにツマミを食ったのち、握りへ。
 握りは、水イカ,サワラ,カワハギ肝のせ、ホタテ貝炙り,シロダイ,カンパチ,タカ海老,バショウカジキ,牡蠣,車海老,シャコ,バショウカジキ,ヨコワハラミ,シメサバ炙り,太刀魚炙り,穴子、野菜の握り。

 ツマミで食べたものも出てきたが、鮨にするとさらにシャリとの相乗効果で旨みが増している。各素材で、2度美味しい経験が得られます。
 煮牡蠣の独自の味付け、肝を和えたカワハギの豊かな味の広がり、タカ海老の甘さ、定番の太刀炙りの安定感、いずれも素晴らしい。とくにここの車海老はいつ食べても見事。車海老の寿司は店によって調理法が異なるけど、この店のあつあつほかほかの剥きたての車海老を食べると、香りの良さ、味の濃厚さ、食感の良さから、これが一番の調理法と確信を持てる。

【車海老 茹でたてで湯気が立ちそうな寿司】
6


 酒は、黒龍,清泉,麒麟山,鯨酔,船中八策,春鹿,大山、その他。
 よく飲みよく食べました。
 素材の追求と調理の工夫において、この店より上に出る店は、九州ではちょっと思いつかない。鹿児島の宝のような店です。
 この店を紹介してくれたAさんに感謝。今は鹿児島を遠く離れており、この店を訪れることができないAさんに、羨ましがらせるために写真をmailすることにする。

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