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November 2008の記事

November 29, 2008

久住山撤退記

 今年は11月末くらいが紅葉の盛りであろうと予測し、そこに宿を予約して、久住に登山に行くことにした。九重の紅葉は、私は赤川登山口のコースのものが好きだ。赤川方面の久住山は雑木林となっており、色鮮やかに山肌が染まるし、山道には落ち葉が敷き詰められてまるで極彩色の絨毯のようになる。
 そういうのを期待して行ったのだが…
Withered_trees


 紅葉の時期の予想は難しい。今年は寒波の訪れが早く、すでに落葉樹はすべて葉を落としており、枯木林となっていた。落ち葉の絨毯も、もう色を失い、ただの枯葉の山。まあ、こういう冬枯れの山はきらいじゃない。枯葉を踏みしめ、まずは扇ヶ鼻へ向かう。

【11月にしては、あまりに寒すぎる久住登山道】
Hoarfrost

 しかし、頂上に近づくにつれ天候が悪くなってくる。頂上近くは雲がかかっていたのが見えていたので、天候が悪くなるのは予想していたが、なんと雲の中は霰であった。天気図によると今日はシベリア寒気団が張り出していたけど、もろにその寒気が九重を直撃している。その霰が横殴りの強風とともに顔にぶつかり、顔が痛くなる。顔が痛くなるのは我慢するとして、寒さはたいそうなものだ。風に体温がどんどん奪われてしまう。途中で、ノースフェイスのゴアテックスの雨具を着込んだから、楽にはなったが、それにしても尋常な寒さではない。

 霰はいつしか雪になり、吹雪といっていい状態。視界が悪くなるなか、なんとか扇ヶ鼻頂上に着。

【なにがなんやらわからんが、扇ヶ鼻山頂】
Frozen_sumitt

 さて、問題はここからだ。赤川口登山コースは、扇ヶ鼻に登った後、西千里ヶ浜を通って、久住山に登ることになる。今までは林のなかを通ってきたので、なんとか強風は緩和されていたが、ここからは寒風吹きっさらしの中を歩いていかねばならない。しかも視界は極端に悪く、下手したらホワイトアウトの危険あり。難易度の高い山行になる。
 でも、なんども通ってる道だし、地図もコンパスもGPSも持っており、道迷いする可能性は低いと思う。そして「吹雪の久住」というスチュエーションは、それなりに進むのにそそられるものがある。ただし、装備に問題あり。紅葉登山の予定のため、秋用の装備しか持っていない。行動中はなんとか体温は維持できるが、休んだりしたら凍えてしまう。

 11月とはいえ、今日の久住は冬山以外のなにものでもない。それも十分にハードな部類の。
 進むべきか、退くべきか。
 一昨年の10月、秋用の装備で猛吹雪の白馬岳稜線につっこみ、遭難事件を起こしてしまったTさんのことを思い出す。あれは悲惨な事故だったなあ。知ってる人も亡くなってしまったし。

 吹雪の久住、なかなか経験できないから、つっこみたいのだが、万が一、素人が装備なしで遭難してしまったら、みっともないし、世間に多大な迷惑をかけることになる。それはよくない。
 まったくの不完全燃焼であったが、ここは扇ヶ鼻で引き返すことにする。

 それにしても久住山を撤退するなんて、…初めての経験だよ。
 たかが久住、されど久住というところか。(久住さん、ごめんなさい)

 下りは身体の筋肉を使わないから、身体が冷えたままである。どんどん体温が奪われていくのが分かる。寒い、寒いとわめきながら、なんとか登山口に到着。雪まみれで汚れてしまったズボンをはきかえ(スパッツさえ持ってきてなかった)、車に乗る。

 はやく温泉に行って、身体を温めなくては。
 さあ、急げ。
 無量塔の極上の温泉が待っている。

【無量塔の部屋風呂】
Hot_spring


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November 24, 2008

白鹿岳@曽於市

 白鹿岳というのは曽於市で一番高い山である。
 標高603メートル。高さはそれなりだが、星がきれいで有名なところであって、観測者がよく訪れるそうだ。頂上は整備されておりこじんまりとした公園もある。
 ちなみに曽於(そお)市の「そ」は熊襲の「そ」であり、球磨とあわせて熊襲なのである。日本書紀にも出てくる由緒ある地名なのだ。その由緒ある地の一番高い山、自転車で頂上まで行ける山であり、眺望もいいらしいので、少々遠いが出かけてみる。

【白鹿岳 遠景】
1_3

 さてその白鹿岳、宮崎側からは入り口が分かりにくい。曽於市に入ったのちは、テレビ塔を建てた山頂は遠望できるものの、入り口への標識が見当たらない。Googleの地図を頼りに、財部南小学校近くで県道482号線より山に向けて曲がっている道に入り、鄙びた集落を横目に山間の道を行く。どこにも標識がないまま山への入り口を求め何度も山間の道を往復するのち、山に登る道は一本しかないのが判明。傾斜15%くらいにとんでもない軽トラック専用みたいな道に突っ込んで登っていく。ようやく踊場みたいな平坦な地が出てきて公民館らしきものが建っている。その傍からちゃんとした舗装路が伸びており、その道の入り口には「白鹿岳林道起点」なる標識があったので、やっと確信を持って白鹿岳に向かって進める道を発見したことになる。
【白鹿岳 近景】
2_3

 この林道も10%以上の斜面。これを進みゆき、ようやく白鹿岳の近景が見えた。ここからでも結構な距離があったが、なんとか山頂公園着。最後の坂はかなりバテました。

【白鹿岳 山頂】
3_3

 山頂には展望台があり、そこからは南九州を代表する山の霧島や桜島がよく見える。南九州の山々の展望台として、ここはお勧めできるポイントです。

【山頂からの展望 雲の上の桜島】
4_3


 下りは鹿児島方面に抜けることにしたけど、こっちもまた山また山で、いつまでたっても山から脱出できる気配がない。山深い地ゆえ、とんでもないところに迷いこむ可能性あり。はたしてこの道でいいのであろうと不安になるころ、いきなり信号とガソリンスタンドが見え、そこでぽっかりと県道2号線に出ました。
 あとは交通量の多い舗装道を漕いで帰っていくのみ。
 (本日の走行距離 61km)

……………………………………………………

【今回の不思議物件】
5_2

 白鹿岳から下りていく途中の山の中、線路も道路もないところの崖にトンネルを掘っている。この地で鉱石が掘れるという話も聞いたことないし、はてなんであろうと不思議に思っていたところ、自転車を止めたところのすぐ近くに、解説の看板があった。
 (私と同様に不思議に思う人が多いんでしょうな)
 これは地下水路を作っているのである。近くにダムがあり、そこからこの沢に水を通し、利水するそうだ。車や人は通らぬけど、水が通るトンネル通路を作っているのあった。

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November 22, 2008

韓国岳(霧島)

 工房見習い職員F君は霧島に登ったことがないそうで、それならここに居るあいだに一度霧島に登ろうかということになった。自転車が趣味のF君なので、自転車で御池あたりの登山口まで自転車で行き、そこから高千穂の峰に登って、下山後はまた自転車で戻ってくるという、ややHard、全行程10時間くらいの登山を予定した。
 しかしF君に当日別の予定ができてしまい、3時間程度の登山しかできないことになった。中止してもよかったのだけど、お気楽登山なら連れて行ってほしいと言っていた者がいるのを思い出し、人数を増やし、えびの高原から韓国岳登山という真にお気楽登山に計画を変更する。
 追加参加の者は、登山などしたことはないけど、そろそろダイエットを考えないといけないと自覚しだした者2名。運動しないといけないといつも思っているそうだ。2名とも、べつだん普通の体型だけどね。
 経験上登山という行為はダイエットにならないと知ってるけど、(登ったあとは、いっぱいカロリーを取るから。とくにビールはいくらでも入る)運動の習慣が身につくと太ることはなくなるから、登山の楽しみを知れば、定期的に運動をするだろうし、ダイエットの援護にはなる。今回は登山の楽しみを覚えてもらうべき、スローペースの登山を予定する。
Duck

 登山口に着く前にまずは腹ごしらえ。
 このあたりで登山するときの腹ごしらえの定番として、蕎麦屋の「かわぐち」。霧島山麓にあります。
 私は冷たい蕎麦しか食べないけど、他のものは寒いので暖を求めるのを兼ねて、鴨南蛮を注文。初めて見るけど、けっこう美味しそう。でも、温い蕎麦って、私の感覚では蕎麦のせっかくの香りも、食感もぜんぶ飛んでしまうから、…私は一生食うことはないだろうな。

Mt_karakuni

 車にてえびの高原着。えびの高原は標高1200m、晴天のもと韓国岳が間近に見える。あと500m登ればいいだけなので、見事なまでに楽勝コース。

 …しかし、ひさしぶりに素人と登ったけど、ほんとに普段登ってない人は登る筋力がないのだな。韓国岳は、親切なことに登山道に10刻みで1合~9合の標識があるけど、1合登るだけで息も絶え絶え。「もう、ここで私たちを置いて行ってくださ~い」とか情けないことを言う。
 先頭を行くF君は、つい行き過ぎてしまうので、ところどころヤンキー座りをして後続の我々をじっと待っている。私は、とりあえず登れ、登れ、一歩ずつ登ればいつかは頂上に着くと、叱咤激励しながらサポートに徹する。もう登れませんとの言葉に、今すれ違った山頂から降りてきた人は70代の人だぜ。君らが登れんわけないだろうとか言いながら、なんとか頂上へ向かわせる。…なんて親切なんだ、おれは。

 私の説明通り、一歩ずつ登っていき、ようやく頂上部、火山口の縁にたどりつく。ここからはべつにたいした登りではなく、道に迷うこともないので、私は2名を置いて、通常のペースで山頂の標識のあるところまでさっさと行く。

Summit

 元気いっぱいのF君に、いまだ遠き場所にいる2名。(赤丸で囲っている)

 ようやく頂上に着いた2名。歓声をあげている。着いての言葉は、
 「苦労して到着した山頂からの眺めは最高です。ここまで励まして登らせてくれてありがとうございました」
 これは、登山好きになれる見込みあり。そうなりゃ、ダイエットは簡単ですよ。

 頂上からの眺望を楽しんだのち、さっさと下山。福岡に用事のあるF君をえびのICのバス乗り場で下ろし、残りのメンバーは東霧島温泉で汗を流す。
 ほっかほっかに温まるいい温泉でした。こういうのは女性が時間がかかるに決まっているから、温泉に入るさい、入浴が終わったのちは車で私が待っていると言ったのに、温泉の気持ちよさについつい長湯してしまい、車に向かったさい待っていたのは彼女らであった。

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